同盟
いったん状況を整理しよう。
俺は、英知に魔法でふっ飛ばされ、俺は
よく考えてみると、俺の体にいる英知は、そのまま落ちて行っていることになる。魔力が残っていればなんとかできただろうが、あのリア充野郎はさっき、派手な魔法を使っていたから、それはあり得ない話だろう。だとすると、俺の体の中の英知は…
「死んでしまったのか…?」
そうと考えるしかない。だが、俺はこの状況がうれしいわけではなかった。なぜかというと…
「このままじゃ俺は英知の体で生き続けていくことになるってことか…?」
それはいやだ、断じていやだ。ずぇぇぇぇったいに嫌だ。
つまり…俺もリア充も誰も得をしない結果となってしまったのである。
「…なぁ」
俺はリア充の女に話しかけていた。すべてを察した女は、涙を流していた。
「ヒグッ…なによ…」
「同盟を組まないか?」
「…は?」
女は俺の方を見つめた。やばい、俺こそなんてこと言ってんだ、と思ったが、俺の口はまだしゃべろうとする。
「このままじゃ、両方が得をしない結果になってしまう。」
「あんたのせいでね!」
「…だが、もし、英知を生き返らせることができたら、俺は自分の体に戻れるし、あんたも大事なクソ野郎を取り戻すことができる。な、いい提案では、あるだろう?」
「……」
女は少し考えてから、言った。
「お代は?」
「いくらでも払ってやるよ!」
「オッケー、じゃあ行くわよ、人の魂がある町、『ソウルタウン』へ!」
「…何言ってんだ、お前?」
「……はぁ、あんた何も知らないわね、そんなんだから無職なんじゃないの?」
「なッ…それ今関係ねぇだろ!」
「いいわよ、説明してやるわよ、今んところは同盟組んでるわけだし。ずばり!ソウルタウンとは『人の魂が置いてある地』!人が死んだら、たいていはソウルタウンに行くわよ。そこに行けば、きっと英知の魂も取り戻せるわよ!」
「……なんか、むちゃくちゃだな」
「仕方ないじゃない、ここは異世界なんだから」
ゴリゴリの正論で返されてしまった。
「それじゃあ改めて!行くわよ!『ソウルタウン』へ!」
「まて!」
「何よ?」
「同盟を組んでんだ。お互い名を名乗ろうじゃねえかよ」
「ふん!いいわよ!私の名前は
「俺の名前は…知っていると思うが、浩だ。山口浩だ!」
俺と恵里衣は睨み合った。俺たちは、この時、お互いのメリットのために、同盟を組んだのであった。
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