ベルガモットの踊り場

森音藍斗

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「最近、どう?」

 社会人になって四年が経った四月末。一年目のころから私をよく見ていてくれる生村さんの、その曖昧な問いでも、何を聞かれているかはすぐにわかった。

「そうですね……。一回席替えしちゃうと、もう痕跡がないみたいで寂しいですね」

「あー、だよねえ」

 生村さんが咥えた煙草からベルガモットの香りが漂い、そしてすぐに風に流されて消える。

「飯でも行きたいって言ってたよ」

 主語のないその言葉に、私の心臓がきゅっと鳴る。

「どうする?」

 ……どうするって――

 私は迷い迷い、口を開く。

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