スマホ

紫閻-sien-

《ファミレスの女子トイレ 洗面台前》

「もしもし ちょっと聞いて 最悪だよ

今 前に言ってた マッチングアプリの男と合ってるんだけど

食べ方汚いし なんか不気味な感じで 一言も喋らないし

やっと喋ったと思ったらトイレ行くって言って 戻ってこないしさ」


『それは 最悪だね この後どうするの?』


「奴が席に戻ってきたら 適当に理由つけて帰る予定

だからさ この後会える? お茶でもしよう」


『わかった 愚痴聞いてあげる なんならその後 合コンでも』


「最高 じゃあ また 連絡するね なるべく早く切り上げるから」


電話を切り 軽く化粧直しをし 席に戻る


が、彼はまだ席に戻ってきていない


イライラがピークに達し 伝票を手に持ちレジに向かうことに

その前に 友達に連絡しようとカバンを探るが

スマホが見当たらない


(そうだ 化粧直しの時に置いて そのまま出てきたんだ)


トイレに取りに行こうとした時 誰かに肩を叩かれる

振り返ると 彼が彼女のスマホを持ち立っていた


「これ トイレに忘れてたよ」


「ありがとう」 素直に受け取る彼女


「この後 どうする?

まさか適当な事言って 帰るなんて言わないよね」


ココでようやく 違和感に気づく彼女

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