第119話 あくまで確認が目的
「ゴブリンか」
最初の敵は、よく知られているモンスターの代表格、ゴブリン。
数は三体ではあるが……アルフォンスが一歩前に出た。
「あれぐらいなら、僕が一人で戦るよ」
「……まぁ、オークじゃなくてゴブリンだしな」
「ふふ。それじゃあ、戦ってくるよ」
反省しなければならない記憶を突かれ、苦笑いを浮かべながらもそのまま前に出た。
「…………」
「んだよ、心配してんのか、お嬢」
「うるさいわね。心配なんかしてる訳ないでしょ」
「はは、そりゃそうか」
ここ数日間、アルフォンスが狩りに行く際、全てルチアも同行していた。
(複数体居ようとも、アルフォンス様がゴブリンに負けるはずないでしょ)
元からアルフォンスの対人戦に関する強さは知っていた。
だが、今回何度も何度も共に狩りを行う中で、対モンスター戦に関しても優れた強さを有していると解り……ほんの僅かにそこに関しては私の方が、と芽生えていた気持ちを叩き潰した。
「まぁ、遭遇するのはあれぐらいのモンスターで良いんだけどな」
「? どうしてよ」
「いや、さっき話したフォーメーションで戦わなきゃいけないようなモンスターと戦うのが今日の目的じゃないだろ。あくまで、アルが使う短剣の使い心地を確認するのがメインだからな」
「むっ、そうだったわね」
「忘れんなよお嬢」
「完全に忘れてた訳じゃないわよ……ただ」
「? ただ、なんだよ」
「……なんでもないわよ!!!」
アルフォンスとの冒険。
最近会話も更に増えてきたシエル、そしてジョゼフもいて……ついでではあるが、バトムスもいる。
この面子で必死に戦わなければならない強敵と戦う、という冒険体験してみたかった。
「何怒ってんだよ、ったく。けど……ん~~~~…………ゴブリンぐらいじゃあ、話しにならなかったか」
たかがゴブリン、されどゴブリンという言葉がある。
通常種のゴブリンであれば、大抵の冒険者が倒せるものの、それでも毎年通常種のゴブリンに殺される者が後を絶たない。
それでも、メイン武器ではない短剣のみでゴブリンに挑んだアルフォンスは、一応バトムス作である短剣の使い心地を試しながら使ったが……あっという間に終わってしまった。
「おまたせ」
「いやいや、全然待ってないぞ。寧ろ早過ぎるぐらいだって」
「短剣の切れ味が良かったから、本当に一切つっかえることなく斬れたんだ」
「……そうか」
「正直、ゴブリンが相手なら魔力を纏う必要すらなかった」
「なるほどね」
アルフォンスの使い心地に関する感想は、バトムスにとって次回以降造るのに活かせる感想でもあった。
「せめて、ゴブリンの上位種かコボルト……オークとかじゃないと、もっと明確な部分は解らないかな」
「ゴブリンの上位種とかコボルトは良いんだけど…………なるようになるとしか言えないか」
安全第一を考えれば……パーズという切り札を考慮しないのであれば、Dランクのモンスターと戦うのは避けた方が良い。
とはいえ、Dランクモンスターほどの相手でなければ、ランク三の武器の正確な感想が解らないというアルフォンスの気持ちも解らなくはないバトムス。
(何か問題が起これば、ゴルドさんたちがなんとかするだろ)
バトムスは……決して気付いている訳ではない。
ゴルドたちが陰から見守っていることは、パーズしか感じ取れていない。
ゴルドたちを気遣ってか、アルフォンスたちに伝えていないため、全員気付いていないが……バトムス。そしてアルフォンスはどうせどこからか見守っているという確信があった。
パーティーの軸である二人がそう確信していることもあり、彼らは遭遇したモンスターと全て戦い、前へ前へと……奥へ奥へと進んでいく。
(……歩いて帰るのを考えると、これ以上奥にはいかねぇ方が良いか)
五人+一体で狩りを始めてから五時間以上が経過。
途中で遭遇したファルポークの肉を焼いて食べたりしているため、全員腹の方は問題無い。
予想外のモンスターと遭遇していないこともあり、全員大きな怪我は負っていない。
ただ、数時間も行動し続けていれば、当然体力は消耗する。
手汗握る、血肉沸き踊るほどのバトルはしてないものの、それでも消耗してる事に変わりはない。
「これ以上奥に行くのは止めとこう。あんまり進み過ぎれば、帰るのに時間が掛かる」
「そう考えると、モンスターと戦うのも後二回か三回に収めておいた方が良いかな」
「……そうだな。その方が良さそうだ」
無事に自分たちの力だけで戻るのであれば、距離以外のところも考えなければならない。
シエルやジョゼフは素直に感心し、ルチアは二人が平然と考えていた事を自分が頭の片隅に置けていなかったことに、悔しさを感じる。
「っ、速い音が近づいてきます!!」
「了解、って……チッ、こいつらか」
バトムスが舌打ちをしたモンスターは……ブラウンウルフというDランクモンスター、の背になるゴブリン。
通称、ゴブリンライダーであった。
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