第118話 バランス良くするなら

アルフォンスへの武器を造り終えた後、バトムスは一応夕食を食べた後……爆睡。


ルチアからバトムスがいないところで「バカじゃないの!!!???」とツッコまれるが、疲れが溜まりに溜まっていたバトムスはそれ以上起きることが出来ず、ぐっすりと睡眠を貪った。


二人の感覚に違いがあるとすれば、バトムスにとってアルフォンスは友人。

ルチアにとって、これから学友になる存在ではあるが、彼女の立場上……アルフォンスが実家に来ているとなると、お客様だと感じる部分が強い。


どちらが良い悪いという問題ではないため、ルチアが理不尽なことを言っているというわけではない。


「バトムス、疲れているかもしれないが、一緒に狩りに行かないかい」


「さっそく実戦で使ってみたいってことか……オッケー、分かった。直ぐに用意するよ」


十時間以上は爆睡したバトムスだが、正直なところ……また疲れは抜け切っていない。

先日だけの疲れではなく、短剣を造る感覚を研ぎ澄ませる時間に、属性を含む素材を使った武器を造るのに慣れる時間。


しっかりと睡眠は取り続けていたものの、その間に感じた疲労も積み重ねっており、現状に至る。


しかし、当初の予定よりまだ時間があるとはいえ、アルフォンスがアブルシオ辺境伯家にいられる時間は、そう長くない。

そのため、多少溜まっている疲れを無視し、準備を整えたバトムスはアルフォンス……と、ついでにルチアとシエル、ジョゼフ共に森の中へと向かった。


因みに、人数が人数になってしまうため、ゴルドとジェナ、複数名の騎士と魔術師は確実のスキルやマジックアイテムを駆使し、なるべく気配や存在感を消しながら同行していた。


「ふふ」


「どうしたんだ、アル」


「いや、こうしてみると冒険者として活動してる様に思えてね」


影から護衛しているメンバーを除くと、アルフォンスにバトムス、シエルにルチアとジョゼフの五人。

そこに加えて、バトムスの従魔であるパーズ。


計五人と一体。

冒険者としては……中堅以上の実力を持つ者たちであれば、あり得なくはないパーティー構成である。


「なるほどね。けど、冒険者のパーティーにしちゃあ…………あれだな。中々に偏った構成になるな」


バトムスは……今後の成長次第では後衛としても戦えなくはない、今のところ前衛。

アルフォンスも魔法の才もあれど、今のところ特化しているのは前衛としての技術。

シエルとルチアも言わずもがな、ジョゼフも様々な武器を試してはいるが、今のところしっくりくるのはどれも接近戦としての武器。


パーズも爪撃波などの遠距離攻撃は行えるが、やはり接近戦で戦うのが得意。


全員の強味を活かして戦うとなると、フルアタッカーのパーティー構成になってしまう。


「むっ……そうなりそうね」


アルフォンスの言葉にケチをつけるなと言いたいところだが、それが解らないルチアではない。

ついでに、部隊の……共に戦う者たちがどういった攻撃を行うのか、そのバランスの重要性なども勉強し始めているため、いつものようにぷんすかとバトムスに怒りをぶつけることはなかった。


「えっと……それでは、私が……斥候? になって、ルチア様がタンクを担えば、それらしくなるかな?」


「あぁ~~、そうだな。それなら俺は…………双剣を使って手数で攻めて、アルはレイピアの貫通力を活かしてもらって……ジョゼフが攻撃の軸になるか」


「っ!!!??? ば、バトムス! な、なんでそうなるのさ」


「いや、バランスをよくするってなると、それが一番だと思ってな」


「で、でも。だからって僕じゃなくても……バトムスやアルフォンス様でも良いじゃないか」


「パワーに関しては、もうジョゼフの方が上だろ。それに、細剣は激しい戦闘には向かないだろ。軸として戦うとなると、敵との接触も多いだろうから、そうなるとやっぱりジョゼフが攻撃の軸にした方が良いって俺は思うな」


ジョゼフは……友人が話す内容が、嬉しくないわけではなかった。


ただ、それでも困るという思いが大きく、周囲を見渡して助けを求める。


しかし……アルフォンスは自身の武器の特徴をよく理解しており、その通りだねと笑みを浮かべるだけで全く否定しない。


「…………」


ルチアは多少否定したい気持ちはあれど、彼女は武器……戦いに関することは、本当に成長している。

加えて、ここ数日間特にジョゼフと共に訓練や模擬戦、実際に共に狩りを行うこともあり、その攻撃力は目を見張るものがあると認めざるを得なかった。


そのため、悩ましい表情を浮かべながらも、否定はしなかった。


シエルに関しては自分は役割を変えるなら斥候の方が良いと理解しており、ルチアと同じくジョゼフの強さをよく理解しているからこそ、バトムスの言う通りだと思っていた。


(ぱ、パーズは……そ、そうだよね。それは駄目だよね)


「…………?」


いきなり視線を送られたパーズは首を傾げるだけで、ジョゼフが何を言いたいのかは解らなかった。


「パーズは切り札だもんね」


「そうそう、そういうこった。だから、頼りにしてるぜ。メインアタッカー」


「だ、だからってそれは」


頼むからからかわないでくれよ……という言葉が零れるよりも先に、全員がモンスターの足音に気付いた。

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