『母』が死んだ

フミヨ。

母は私にとってはいわゆる『母』ではない。

彼女もまた私を『娘』とも思っていなかったろう。

ただひとつの真実は、『母』が『娘』を産み落としたこと。


ただそれだけのことが、私を四方八方に振り回した。

私の人生を悉く引っ掻き回した末、たったひとりで死んだ。


彼女が残したのはごくいくばくかの預金と勝手すぎる「手紙」だった。

遺書とも書き置きともつかぬ走り書きの乱雑な文章だったが、必死に書いたのであろうことは伝わった。


『母』はなぜこのようなものを残したのか。

思い出したくもないはずだった彼女の生き様とやらを振り返ってみようと思った。

これは、『母』がどのように生き、死んでいったかという話である。

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