寝るだけでレベルアップ〜世界の危機だけど面倒なので強そうな人に全任せして最後まで楽に生きようと思います〜
Leiren Storathijs
プロローグ
僕は
さらに寝ることさえにも意味を見出し、結果はわからず終いで不眠症となり、毎日睡眠薬を飲まなければ寝るのが難しくなった。
流石に健康は害したくない。風邪とか引いたら面倒だろうし。でも僕は今日、唐突に全てにやる気を失った。
そう人生の全てに。何故僕は生きているんだろう? ではなく、生きる意味は? と。結果分からなかった。
考えるのも面倒になって来たので、睡眠薬を沢山飲めば永遠に起きれなくなることがあるらしいので、僕はただ眠るために大量の睡眠薬を飲んだ。
意識は急激に、ゆっくりと沈み込むように落ちていく。まるで抗えない睡魔に僕は身を委ねた。
◆◇◆◇◆◇
しばらくして意識がだんだんとはっきりしてくる。恐らく無事に天国に行けたのだろう。ならば神様に頼もう。僕を永遠に眠らせてくれと。
しかし目の前に現れたのは妙に慌てた様子を見せる女性だった。
「あわわわ……ん? 貴方、もしかして転生者!? 待ってたわぁ、ささ早く契約済ませてしまいましょ!」
契約とはなんのことだろうか? 僕は早く寝たいというのに。寝られるなら早くしてくれ。
「ちょーっと目を瞑って寝てたら、管理していた世界の均衡が壊れちゃって! このままだと世界が壊れそうなの! 原因は魔王の暴走なんだけど……聞いてる?」
「ごめん。全くそういう話は興味が無くて。君が神様というなら、僕の願いを聞いてほしい。僕を永遠に眠らせてください」
「ごめん!! 今はそういう本来の仕事をしている暇はないの! だから貴方で良いや! 異世界に行って魔王を止めて来て!」
この人はさっきから何を言っているんだろう。小説とかゲームの話は興味が無いのに。まさか僕を別世界に送ろうとしているのだろうか? それは……まぁ、いいか。別の世界でもひたすらに寝ていればいい。魔王とか世界の危機とか興味無いんだから。
「で! 何がほしい? あぁ! 永遠の眠りだっけ? じゃあそれで良いや……。いやいやいや! もう私も行く! 次の転生者を待っていられる時間なんてないの。と言っても神が世界に直接干渉することはもっとダメなことだから、あっちに行ったたら無理やりにでも連れ回すからね!?」
「うん……ふわぁ〜あ……」
「それじゃあ、異世界へゴーー!」
そういうと僕の視界は突然暗転する。
◆◇◆◇◆◇
そして再度目を覚ませば、そこはどこかの王宮のようだった。
「良くぞ参った勇者よ! 我が名はグレイトス・アームロック。此処、グレイトス王国の王よ。今、我が王国は魔王の危機に瀕しておる。だから勇者の力でどうにかできんかのぉ!」
なんと曖昧で他力本願。どうにかできんかなどと言われても困るしかない。そこで僕の横からもう一つの王とは違う女性の声が聞こえた。あぁ、そう言えば……。
「私は勇者と一緒に馳せ参じました女神ステアです。必ずやこの勇者と一緒に世界の危機どうにか致しましょう」
「おぉ! まさか女神様も一緒に転生してきて下さるとは! なんと頼もしいことか! ならば勇者よ。女神と共に魔王を打ち倒してくるのだ!」
そう言えば神様も一緒行くとかなんとか言ってたっけ。しかし、何か勝手に話が進められている。僕はそんなことする気は無いのに。面倒だが此処は拒否しなくてはならない。
「勝手に決めないでください。僕は魔王とか国の危機とかに興味がありません。なので僕はこれから課せられるであろう任務を全て此処に放棄し、穏便に暮らすことを望みます。それを許して下さるのなら願わくば、僕に寝床と。数人の友達をください」
前世に友達はいなかった。別に欲しいとも思ってなかったから作らなかった訳だが、今世は神様が常に着いてくれると言っていた。ならば2人より3人、3人より4人だ。少人数で過ごすより、きっと少しは楽しさがあるのでは無いだろうか。
「な、興味が無い……? しかしそんなこと言っている暇は……いや、お主は良く考えれば勝手に召喚された身。どのような道を選ぶかはそっちにあるのだろう。時間は本当に無いが、その責任は我らにあるのが当然だ。……分かった。突然異世界に呼び出したお詫びとして、我々から特別な住居と、勇者と友達になりたい人間でも募集しておいてやろう」
おお、なんて話の分かる王だろうか。これからこの国はどうやって世界の危機を救うのか知らないが、僕はこれからどんなことが起きようとも参戦したり、助けたりはしないだろう。
特別に住居も友達も貰ったろうだって? これはあくまでもお詫びだ。お詫びに返す必要なんてあるわけがない。こちらは被害者なのだから。
さて、ならば王が用意してくれた住居とやらに行こうではないか。王都の話を終えると従者らしき壮年のスーツを着た男が僕を呼んでくれた。
「勇者様、住居の場所へ案内致しましょう」
「ありがとう。それと僕のことは冬夜と呼んでくれても良い。もう勇者では無いんだから」
「あぁ、そうでしたね。それでは冬夜様。私に着いて来てください」
そう従者についていこうとした時、耳をつんざく大声と共に、女神に通せんぼうされた。
「ちょーっと待ったあぁ! なに勝手に勇者止めるとか言ってんの!? 私は貴方に魔王を止めて欲しくて異世界に転生させたのよ? 王様も、軽く決めないでください!! これから国はどうするというのですか!」
「そんなこと言われても困るよ。それにこんな僕に力なんてあるわけないじゃ無いか。もしかして魔王は対話で解決出来る問題なのかい? いや、それならもうとっくに出来ているか。神様、貴方は僕に死んで欲しいと言っているのか。ならば正直に魔王に突っ込んで死ねと言えばいい。無論拒否するけど」
僕に続いて王は女神の言葉に応える。
「軽く決めたつもりは無いが……実は勇者をもう一人召喚する余力はあるのだ。あとはその彼に賭けるしかない。そう思っておる。魔王の力など我々人間の力では、どんなに数を揃えても無理だ。歴史が証明している」
「最悪……。とはいえ、本当の全ての責任は私か。神の力は世界の均衡を保つためにある。でもそれを怠ければ結果はこうなってしまう。全く油断してた」
なんだ女神も激怒しながら自分で責任は感じでいたのか。てっきり完全に押し付けているのかと思ってた。
そう溜め息を吐く女神だが、何かを思い出すようにはっと顔を上げて言う。
「そうだ冬夜! 貴方、今すぐステータスと唱えなさい! 王もなに重要なことを忘れているんですか!」
「ステータスか! そうだったわ。急に全くやる気の無い言葉を聞かせる冬夜にびっくりして忘れておったわ」
「ステータス……?」
僕は女神に釣られてふとその言葉を呟けば、大きく青い透明の窓が、浮かぶ見慣れた文字と共に現れた。
◆◇◆◇◆◇
─────────Status ────────
───────── Skill ────────
・アップスリーパー[Lv:MAX]
最高にまで研ぎ澄まされた究極の睡眠法。寝れば寝るほどに自身を高め新たな境地を引き出す。
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