第3話 ヤクザと警察 どちらが恐い ?

この話は、数年前、私が初めて釜ヶ崎のホテル(一泊1400円)に宿泊した時の実話です。

① 3月下旬の夜6時半頃、私は折りたたみ自転車でホテルに着くと、道路の植え込みの前にずらりと並んだ自転車の空きスペースに、自分の自転車を押し込んでいました。

  すると、向こうから、ヨレヨレの体操着を着てサンダルを履いた、漫画「じゃりん子チエ」の父親のようなおっちゃんが、携帯電話を耳に当てながら歩いてきました。そして、私から数メートル離れた辺りで、立ち止まり、こんな話をし始めたのです。


  ・・・

  「ゆんべな、テツが飲み屋で肩刺された言うて、血まみれで帰って来よった。」

「警察へ行った(言った)?」

「アホ! あんなとこ行ったかて、なんもしてくれん。」

「お茶も出さんで、暇なおまわりが、へえ・ほう、はなし聞くだけ聞いて、「ほな、気いつけえや。」でおしまいや。」

「女やったら別や。」

「○○(飲み屋の名前)の××子な。」

「おまわりが店に来て、なんや困ったことあらへんか、言うから、「なんもあらへん」言うたそうや。」

「ほしたら、何日かしたら、××子のアパートの近くに来て、また同じこと聞くんやて。」

「××子の自転車の防犯登録シールから女の家調べ出したらしい。」

「ヤクザより警察の方がよっぽど恐い、××子言うとった。」

「そんなもんや。警察たらいうとこは、女にはしつこくやさしゅうするが、わしらんみたい、助けるどころやない、相手にもせえへん。」

・・・

「テツ?」

「今朝起きたら、いなくなってた。自転車がなくなってたんで、自分で医者へ行ったんやろ。」

・・・

そういって、再び歩き出し、西成警察署の方(メインストリート)へ、テクテク歩いて行きました。

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