第3話 永遠の眠り

交差点で再びお雪に会った健太は、彼女に真実の愛について話をし、彼女の願いを叶える方法を見つけ出すと約束した。お雪は静かに微笑み、彼の温かさに感謝の言葉を述べた。彼女は健太に、自分の過去、愛した人に裏切られた痛み、そして悲劇的な事故に至るまでの出来事を詳しく語った。お雪の話を聞き、健太は彼女が抱える深い悲しみと孤独をより深く理解した。


夜風が冷たく吹き抜ける中、健太はお雪に提案した。「お雪さん、あなたの願いはもう叶ったのではないですか?真実の愛とは、裏切りや悲しみを乗り越えてもなお、理解し合える心の繋がりなのかもしれません。僕たちは今、心を通わせています。これが、あなたが求めていた真実の愛ではないでしょうか?」


お雪はしばらく黙っていたが、やがて静かに口を開いた。「健太さん、ありがとうございます。あなたとの出会いで、私の心にあった冷たさが溶け、温かな気持ちでいっぱいです。私の求めていた愛を、あなたはくれました。ですが、私はもうこの世のものではありません。あなたと共にいることは叶わないのです。」


健太はその言葉に涙を浮かべながら、お雪に最後の提案をした。「お雪さん、もしよければ、私と一緒に最後の一夜を過ごしませんか?それが、私たちの愛の証となり、あなたが安らかに眠りにつけるように。」


お雪は涙を流しながら健太の提案を受け入れた。二人は交差点の布団に寄り添い、お雪が生前感じたことのない安心感と幸福感に包まれながら、永遠の眠りについた。


その夜、お雪の魂は穏やかにこの世を去り、健太は深い眠りから目覚めた。お雪との出会いは、彼にとってかけがえのない経験となり、人生の価値観を大きく変えることになった。お雪が遺した愛の記憶は、彼の心の中に永遠に残り続ける。


お雪の願いは叶い、彼女は健太との心の繋がりを通じて、真実の愛を見出し、安らかな眠りにつくことができた。そして健太は、愛とは時に犠牲を伴うものだが、それでも尚、人生で最も大切なものであるという教訓を胸に生きていく。

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交差点の誘惑〜お雪の敷布団 みっちゃん87 @bosanezaki92

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