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第16話

「彼女には何か特別な力があります」

ヴェーダは窓際から駅の人だかりを眺めた

つむじとルネに担がれて商店街の奥に連れられてゆくフレオが見える

「あゆは話しませんが」

「わかるわ」

フラウタは窓を背にしたまま、購買で売られているつむじの写真を眺めていた

「誰だって話せない過去を抱えている。あなたは?ヴェーダ」

「私の過去はフラウタ様がご存知の私だけです」

「ウソ」

そう言うフラウタの口元は少し笑っていた

写真を机に置いて立ち上がると、ヴェーダを伴って高天原の生徒会室を後にした

廊下で控えている補佐官達が礼をして迎える

「彼女の女王就任に同意します。会議の方はよしなに」

「畏まりました」

それだけ言うとフラウタの補佐官達はまた一礼して下がった

「あなたも同意してくれるでしょ?」

「フラウタ様がそうお望みなら」

「不満そうね」

「…いけませんか。嫉妬は」

「いいえ、嬉しいわ。こう言うとあなたは嬉しくないんでしょうけど」

「あなたはサディストです」

フラウタは端正な笑顔で答えた

「わたしは喜んでないわよ」

「…ウソがお上手ですね」

ヴェーダの方は頬を赤くして喜んでいた

「ほんとよ?」

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