気づいた本質、時すでに遅し

 昔から両親に先祖が見ているぞという励まされ方と脅され方をしていたので、いつも家の自分から離れた影になる場所や隙間から覗いている目は何代か前の先祖だと思って悪いことはしないしできなかったのだが、あるとき両親がまたその物言いをしたときにその目が見えなかったので、でも今は見てないよと言ったところ彼らは取り乱し始め、それがどんなものかいつ見えるのかということを根掘り葉掘り聞かれて不思議に思ったのだが、それからというものその目が段々近くに居るようになり、ついには鞄の中や学校の机の中などの出先にも出るようになったので、ああこれは見えているのに気づかれたらマズいタイプのやつだったかと、部屋を出ようと扉を開けた隙間に立って初めて全身を見せたそれと見つめあいながら思った。

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