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 花の神たちと地上の人らがまじわり、その子らの一人が化粧の半神ミュラスだった。草花から色を得て飾る術を心得ていて、他の女たちや神々の神殿を美しくいろどった。

 ある夜、突然月が欠け、暗き穴から灰色の神ジェスが降り立った。これは暗がりの神で、夜闇に乗じてミュラスをかどわかした。

 夜の世界でもミュラスは美しく輝いたが、それは常に月の光を受けていたからである。月がミュラスを哀れみ、せめてもの手向たむけとして太陽から譲り受けた光を受け渡していた。

 ジェスはミュラスを大層可愛がった。


(『神話集』にまとめられたミュラスの章。陶片の時代より少し下った頃にまとめられた。)

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