1 私を思って∧復讐
「あれ、見ない顔だ。最近来た子?」
今日は勇気を出していつもと違う場所に行ってみようと思った。怖がりな僕はまだ一番地区から出たことがなかったから。半年近くもいるのに。ちなみにここは三番地区。そして、適当に道を歩いていたら丸い物を被っている人にいきなり声をかけられた。被り物をしてる人はテーマパークだったら見たことがあったけど、普通の場所で見るのは初めてだから少し不思議。
「えっと、三番地区に来たのは今日が初めてです。ここには半年前に」
「そっか。この道なら一番か六番ってところかな? ボクはシロツメって言うんだ。よろしく! 君の名前は?」
声の大きさとか話し方とか……やっぱり元テーマパークの人なのかな?
「……ヒユって言います」
「いい名前だね! ところでヒユ君、会ったばかりで申し訳ないけど頼みがあるんだよね。この子と一緒に生活してもらいたいんだ」
シロツメさんの後ろから顔を覗かせたのは6歳くらいの女の子。僕より小さい子がx地にいるなんて驚いた。女の子はじっと僕を見つめている。何も考えていないような真っ黒な目が少し不気味に思ってしまった。
「まぁいいですけど……何故僕なんですか?」
「うーん、なんとなく! 優しそうだし、君になら任せられそう!」
「そんな簡単な理由で大丈夫なんでしょうか……」
「人を見る目はある方だよ? この子はあんまり喋らないしちょっと話しにくいかもしれないけど、仲良くしてくれると嬉しいな」
シロツメさんは少ししゃがみ、女の子に「またね」と言って微笑んだ。
「じゃあヒユ君、頼んだよー!」
そしてシロツメさんは行ってしまい、僕と女の子の二人だけになった。この子の名前とかもう少し説明があると思ってんだけど。何もわからないまま話が進められてしまったため、僕はこれからこの子とどう過ごしていけばいいのか分からない。やっぱり断ったほうが良かったかな……。
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