第9話 登録テスト1
魔法もスキルも使うことができないと判明したジュンタは、受付に冒険者登録を拒否される所だった。しかし、そこにギルドマスターが現れ、必死に懇願した結果、チャンスを掴み取った。ギルドマスターが提示するチャンスとは?
ジュンタ「テスト………ですか?」
ギルドマスター「そうじゃ。お主には3つのテストを受けてもらうぞ。」
ギルドマスター「3つそれぞれワシが決めたクエストをクリアするんじゃ。」
ハルド「どんなクエストだ?」
ギルドマスター「クエストは1つずつ通達する。そして、クリアするにつれ、どんどん難しくなってくる。」
ジュンタ「なるほど。」
ギルドマスター「当然、ギブアップしたら、登録は認めん。命を落としても終わりだがのう。」
ハルド「命!?危険なクエストもあんのか!?」
ギルドマスター「油断すれば命を落とす。それだけじゃ。」
ジュンタ「………」
ギルドマスター「これを無事乗り越えたならば、冒険者として認めよう。ただし、失敗したならば、今後一切登録は認めん。」
ギルドマスターはジュンタを見据えて覚悟を問う。
ギルドマスター「さあ、若人よ。お主はこの試練、受けて立つか?」
ジュンタもギルドマスターを真っ直ぐ見つめて返事をする。
ジュンタ「………はい!」
ギルドマスター「うむ。よく言った。」
ギルドマスター「では、1つ目の内容を伝える。『採集』じゃ。」
ジュンタ「採集?」
ギルドマスター「指定したアイテムの納品じゃ。」
ハルド「納品クエストか。アイテムによって難易度が劇的に変わるヤツだな。」
ギルドマスター「そうじゃが、今回は簡単じゃよ。」
ギルドマスター「『薬草』を10本採ってこい。草原や森によく生えておる。」
ジュンタ「はい、わかりました。」
1つ目のテストの説明を受けたジュンタは、町に戻って、ハルドに協力してもらいながら準備を終えた。
ハルド「忘れ物は無いか?」
ジュンタ「うん。大丈夫。」
ハルド「テスト、頑張れよ!」
ジュンタ「うん。行ってきます!」
ハルド「気をつけろよー!」
ジュンタは冒険者になるべく、不退転の決意を固め、テストに望んだ………。
町を出たジュンタは、しばらく草原を探索していた。アイテム図鑑を手に、薬草の採り方を模索している。
ジュンタ「えーっと………『薬草は、草原で時々見かける茂みや森の木の根元に生えていたりする』か。」
まずは草原の茂みをくまなく探し回る。
ジュンタ「図鑑には茂みにもよくあるって書いてあるけど、まだ見つかんないな。」
それから15分ほど経過したが、未だに1本も見つからない。
ジュンタ「ここまで来ると他の誰かに取られたんじゃないか?森で暮らしてた時の川といい、どうも求めてるものを見つけるのに時間がかかるな。」
そろそろ森にでも行こうかと考えていたその時………。
ガサガサッ!
ジュンタ「!?」
何かが茂みの奥でうごめいている。そして………
???「ニャーオ!」
猫の見た目をした小型の魔物が2匹現れた。ジュンタは咄嗟に身構える。
ジュンタ「何だコイツら?草原の魔物か?初めて見るから何者か分からない。」
???「ニャー!!」
ジュンタが目の前の魔物について考えを巡らせいると、猫のような魔物が襲いかかってきた。
ジュンタ「おっと」
考え事をして反応が遅れたが紙一重で攻撃を躱す。
ジュンタ(今の一撃でだいたい分かった。動きは早いが攻撃が直線的だな。次飛びかかった時にカウンターを狙えば倒せる。)
ジュンタはナイフを構えて反撃の体勢を整えようとするが、今度はもう1匹が死角から攻撃してきた。
ジュンタ「危ねっ!」
ジュンタ(そうだ、2対1だった。機動力がある相手が複数だと少々手こずる。)
ジュンタは2匹の攻撃を何とか躱し、いなし、攻撃パターンを掴んできた。
ジュンタ(2匹は別々のタイミングで攻撃するな。)
???「ニャーー!!」
ジュンタ「よっ」
ジュンタは1匹目の攻撃を避けると同時に体を掴んだ。
???「ニャッ!?」
直後、2匹目が間合いに入った。2匹目の攻撃に合わせて1匹目の体でガードする。
ジュンタ「猫ガード!」
???「ニャッ!」
これで1匹目が負傷し、隙が生まれる。そしてジュンタが反撃を浴びせる。
ジュンタ「今だ!」
素早く2匹ともナイフで切り裂き、絶命させた。
ジュンタ「ふう。」
ジュンタ(初見だったけど動きが分かりやすくて助かったな。ん?)
ジュンタは魔物が倒れた場所に何か落ちているのを発見した。
ジュンタ「これは!」
すぐにカバンからアイテム図鑑を取り出して確認した。
ジュンタ「間違いない。これが薬草だ。やっと1本ゲットしたぞ。」
ジュンタ(アイテムって魔物が落とすこともあるんだな。帰ったらもう少し図鑑に目を通しとくか。)
カバンに薬草を1本しまって、他にも何か落ちてないか確認した。
ジュンタ「これは、さっきの奴らの毛皮?」
それは、先ほど倒した魔物の毛皮だった。
ジュンタ「一応拾っとくか。何に使うかは分かんないけど。」
そして、もう少し草原を探索した後、ジュンタは森へと向かった。
ジュンタ「森はあんまり人が来ないってハルドが言ってたな。今度こそ順調に集められるといいんだけど。」
そこからジュンタは薬草を2本、3本、4本………と順調に集めることができた。
ジュンタ「よし!7本集まったぞ!あと少しで帰れる。」
残りの数を今のような調子で探した。そして遂に………
ジュンタ「ようやく、10本集まったー!後は、安全に帰るだけだ。」
その後、ジュンタは帰り道で魔物を警戒しながら無事帰還することができた。帰還する頃には昼を過ぎていた。
ハルド「お、無事に戻ってきたな?おかえり!」
ジュンタ「ああ、ただいま。」
ハルド「ちゃんと10本採ってきたか?」
ジュンタ「この通り!」
ジュンタはカバンの中をハルドに見せる。
ハルド「これで1個目はクリアだな。ん?それは“プレーンキャット”の毛皮じゃねえか。途中で倒してきたのか?」
ジュンタ「あの猫の魔物のことか。いきなり2匹襲ってきてね。草原にはよくいるの?」
ハルド「まあな。アイツはすばしっこい所が厄介でな。集団で襲ってくることもあるから、基本は1匹でいるときを狙って倒した方がいいかもな。」
ジュンタ「何だー。それなら最初に言ってくれてもよかったじゃないか。」
ハルド「悪ぃ悪ぃ、忘れてた。」
ジュンタ「もう。ギルドマスターに報告しに行ってくるよ。」
ハルド「俺も同行するぜ。んで、ちょっと遅いけどそれが終わったら昼飯だな。」
ジュンタ「うん。」
2人はギルドへと足を運び、ジュンタの1つ目のテストのクリアを報告した。
ギルドマスター「うむ、ご苦労だった。これで1つ目は終了じゃ。」
ハルド「やったな!」
ジュンタ「うん。でも、これからだ。」
ギルドマスター「今日の所はゆっくり休むとよい。2つ目のテストはまた明日行うぞい。」
ジュンタ「はい!よろしくお願いします!」
ギルドを後にした2人は定食屋へ行く。
ハルド「よし!ひとまず、労いだ。飯食いに行こうぜ!俺の奢りだ。」
ジュンタ「また1つ仮ができちゃうね。」
ハルド「じゃあ、返してくれんのか?」
ジュンタ「まあ、いつかは。」
ハルド「真面目だねぇー。」
2人は定食屋で昼食をとり、その後の時間をゆっくり過ごして明日に備えてリフレッシュするのであった。
To be continued
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