第5話 デビュー前の腕試し
ハルド「いざ!」
ジュンタ「勝負!」
ジュンタは腕試しをするため、ハルドはジ
ュンタの力が気になったため、お互いに力試しをしようという流れで模擬戦を行うことになった。
ハルドは剣を握っているのに対し、ジュンタは素手である。
ハルド「せめてナイフ貸してやろうか?」
ジュンタ「………このままでいい。」
互いに隙を探り合っているためか硬直している2人。そして………
ジュンタ「先手必勝!」
まずは、ジュンタから攻撃を仕掛けた。ハルドの顔面に右の拳を叩き込む………ことはなく、左の拳で鳩尾を捉えた。《
《
→上段突きと中段突きをほぼ同時に行う技
。スポーツ空手では滅多に見られることはない。余程の訓練を積んでいないと両方躱すのは難しい。
ハルド「ぐっ!いつの間に腹を………」
ハルドは顔への攻撃を意識してたため、鳩尾をモロに喰らった。しかし、ハルドは虚を突いた一撃をものともせず、剣を振り下ろし袈裟斬りを放った。
ジュンタ「っ!?」
ジュンタは難なくそれを躱し距離をとる。
ジュンタ(フェイントで怯まないものなのか
?かなり打たれ強いとみる。)
ハルドによる追撃。今度は間合いの外から攻撃が飛んでくる。
ハルド「《エアー・
《エアー》
→風の初級魔法。習得難易度が低い風魔法の基本形。風を起こしたり、小さい衝撃波を出せる。使い方によって、いろんな技を派生させられる。
ハルドは詠唱しながら剣を横に薙ぎ、風の衝撃波を発生させた。
ジュンタ(っ!来る!)
ジュンタは勘でサイドステップで躱し、少し遅れて後ろの木が切れた。
ジュンタ(おいおい、そんなのありかよ………
!?)
そして避けたはずの衝撃波はジュンタの右頬を掠めた。
ハルド「やはり避けたな!」
ジュンタにハルドが再度追撃を放つ。斬るのはマズイので剣の側面でジュンタを叩く
。ジュンタは剣が当たると同時に後ろへ跳ぶ。
ジュンタ「チッ!」
ジュンタ(しまった!また“あれ”が飛んでくる!)
ジュンタは衝撃波の類の放出を警戒している。そしてハルドは再び詠唱する。
ハルド「《エアー・
今度は真っ直ぐに吹き抜ける風をおこした
。そして、後ろに跳んだジュンタに命中。
ジュンタ(くっ!吹き飛ばされた!)
ジュンタは体勢を整えるために宙返りし、切り株に足を付けた。その反動でハルドへ一気に飛びかかる。
ハルド「フッ、そう来たか。ならば!」
ハルドが魔法で迎撃する。
ハルド「《エアー・
ジュンタは向かってくる衝撃波を滞空している体を捻って避ける。
ハルド「たぁ!」
ハルドは剣を振り下ろした。が、寸でのところでジュンタは白刃取りをする。
ハルド「何っ!?」
そして、両手が塞がっているハルドを蹴り抜いた。
ジュンタ「はっ!」
ハルド「ぐほっ!」
ハルドは後ろまで吹き飛ばされる。
ハルド「お前、何となく腕が立つとは思ったがまさかここまでとはな………ならば!」
ここで、ハルドの空気が変わる。
ハルド「 多少疲れるが更に気を引き締めて
行くぞ!」
ハルド「ハアアア!」
ハルド「《エアー・
ハルドは風をまとい、先程とは比べ物にならないスピードで突撃して来た。
ジュンタ「なっ!速い!」
ハルド「カアアアア!」
ハルドは拳を豪快に打ち込む。ジュンタは反応が間に合わずガードして攻撃に合わせて後ろに跳ぶしかなかった。
ジュンタ「くっ!まだ上のギアがあるのか
………」
ハルド「《エアー・
直ぐに風魔法の追撃を行った。衝撃波が縦にほとばしる。
ジュンタ「うおっ!」
何とか躱したが今度は服の左肩の部分が裂けた。
ジュンタ(っ!衝撃波も速くなってる!技の出力を底上げしているな………凄い瞬発力だ
。)
ハルド「シュッ!」
ジュンタ「!?」
ハルド「《エアー・
ハルドは攻撃の手を緩めることなく、凄まじい風の連撃をお見舞いした。
ジュンタ(っ!このままじゃ持たない………)
ハルドの連撃に対してジュンタはジリ貧。攻撃をまともにもらうのも時間の問題である。
そして、ジュンタ攻撃を躱すのが困難になり堪らず後ろへ跳んだ。
ハルド「逃がすか!」
ハルド「スキル発動!《
《
→ハルドが授かったスキル。相手へ素早く一直線に突撃する。実際はその勢いで敵を斬ったりすることが多い。
ハルドは離れたジュンタに向かって勢いよく体当たりした。
ジュンタ「うごっ!」
魔法とスキルで畳み掛けられたジュンタに止めをさす。
ハルド「止めだ………」
ハルド「《エアー・
バコン!
ジュンタ「がっはぁぁっ!」
ジュンタ(途中から………何もできなかった…
……)
遂にハルドの攻撃をモロに喰らったジュンタ。そのまま仰向けに倒れる。
~
ハルド「おい、大丈夫か?」
ジュンタ「痛てて………模擬戦なのにあそこまで本気でやるのか?普通。」
ハルド「ハハハ!悪い悪い。お前が思ったよりも強いんでついな。」
ジュンタ「ハルドも強いよ。タフすぎる。そして、途中から何もできなかった。」
ハルド「いや、丸腰であんだけ対応できるのもすげぇと思うぜ。」
ジュンタ「改めて誓う。俺はこの世界で師範の背中を追うため武術を極め、そしてこの技を後世に残していく!」
ハルド「そうか、応援してるぜ。」
ハルド「ってな訳で俺たちは仲間だ!これからよろしくな、相棒!」
ジュンタ「ああ!よろしく!」
ガシッ!
ハルド「これから、メルン町へ行くぞ。あそこは俺が生まれ育った町で、冒険者ギルドに登録する場所でもあるんだ。」
ジュンタ「よし、早速出発だ!」
かくして、ジュンタとハルドは互いを認め合い、仲間となった。これから町へと向かい、ジュンタは冒険者としての生活に備える。
To be continued
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