第十二話 ダンジョン調査隊がやってきた
色々、望外のご支持を頂いてもの凄く嬉しいです。作者冥利に尽きます。
というわけで、予定外の投稿です。ストック減りますが、それに増して書く意欲爆発?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ミスリルの槍と剣で少々散財してしまったので、少し稼ぎに力を入れよう。
ターニャは今では鎧猪は一檄で倒せるから、そろそろ毎日売りに出してもおかしくはない。
それにしても強くなったなあ。擬態スライムのバフを借りていたとは言え、オークキングを倒したのは良い経験値稼ぎになったようだ。
―――――――――――――――――――――――
名前:ターニャ(17)
種類:人族
体力:171(+50)
攻撃:230(+50)
敏速:108(+30)
防御:103(+20)
器用:68
知性:102
魔力:15
スキル:剣術LV2・格闘LV1・弓LV1・槍lv1
―――――――――――――――――――――――
槍のスキルが新しく増えた。
僕もステータスが増えてる。
―――――――――――――――――――――――
名前:アッシュ(13)
種類:人族(ダンジョンマスター)
体力:139(+50)
攻撃:178(+50)
敏速:112(+30)
防御:97(+20)
器用:68
知性:200
魔力:350
スキル:空間制御LV9・剣術LV2・魔法LV1
―――――――――――――――――――――――
空間制御のレベルが上がったのは、ダンジョン拡張したせいかもしれない。
そろそろ鎧猪相手では経験値が稼げなくなってきたので、次の獲物は雷狼にする。
―――――――――――――――――――――――
名前:*
種類:雷狼
体力:75
攻撃:238
敏速:150
防御:66
器用:87
知性:52
魔力:15
スキル:雷撃LV2・撃牙lv2
―――――――――――――――――――――――
こいつは素早いのと何頭か群れを作るので結構手強い。
それに雷を撃ってくるので厄介だ。痺れる程度だけど、こちらの動きが鈍る。
こいつは三層から五層に居るので、対処できるようにしておいたほうが良い。
例によってターニャにポーターの僕が付く二人パーティーだ。
オルトとダインは森で木を倒し、屋台を作っていた。
生活魔法が地味に役に立ってる。
カティとミルカは二人で角兎を狩っている。ミルカが魔法で拘束をかけ、カティがたこ殴りにするそうだ。スライムに追いかけられていた頃が懐かしいなあ。
もうすぐ角兎の屋台が出せそうだな。
ある日、例によって鎧猪を買い取りに出していると、受付嬢が僕らに声を掛けた。
「ターニャ、ランクアップのお知らせよ」
「えっ?急にどうしたの?」
「鎧猪を毎日持ち込んでくるFランクなんてあり得ないでしょう。雷狼だって持ち込んでくるし。おめでとう、Dランクよ。カード貸してちょうだい」
「えっ!嘘でしょう?いきなりDランク?」
「ソロでそれだけ狩りが出来るんだもの。良く頑張ったわね」
まあ、ポーターは数に入らないからな。
ターニャは目をつむり、拳をぎゅっと握った。
「オーディ、とうとう追いついたわよ。あなたの背中に」ほんの小さな呟き。
どんな思いが込められているんだろう。
今は亡きオーディ。彼の代わりに必死で頑張ってきたターニャ。
「へへっ、今日も肉祭りだね」僕はターニャの背中を軽く叩いた。
カードが更新されるのを待つ間、僕たちは果汁ジュースをすすりながらカウンターに座っていた。
と、どやどやと鎧姿の数人の騎士達が入ってくる。
普段は冒険者しかいないギルドに随分場違いな。
皆が眉を顰めてみていると、彼らはギルドの奥の部屋へ入っていく。
受付嬢さんが更新されたギルドカードを持ってきた。銅色のDランクカード。
「あれ、何なの?」ターニャが顔を騎士達の消え去った方を向けて尋ねた。
「ああ、領主様の使いよ。新しい階層が見つかったので調査に入るんだって」
「新しい階層?」
ああ、とうとう発見されたか。ま、僕らは関係ないし。
「十階層でボスを倒したパーティーが奥へ続く入り口を見つけてね。ギルマスは本部に報告するやら、パーティー派遣するやら大忙し」
「何で領主様が出てくるの?」
「ばかねえ、ダンジョンは宝の宝庫。新しい階層が見つかったら、どんだけお宝が増えるのか見当も付かないわ。領主様の懐具合も様変わりするかも、なのよ。調べたいに決まってるじゃない」
おおふ。そういう方面で影響出るというのは頭になかった。
面倒事にならなきゃ良いが。
数日経って、もろ面倒事に巻き込まれた。
朝、ターニャとギルドに入ると受付嬢に呼ばれ、奥の部屋に案内される。
冒険者らしい五人と、騎士らしい人が三人、それに立派な服の青年。多分、貴族だ。
「その子が例のポーターか?」青年貴族が僕を見つめる。
「ええ、この子のマジックバッグはアンザックでも飛び抜けた収納量を誇ります」
「マジックバッグだけを借りるわけにいかないのかい?」
「この子にしか使えない誓約が掛かっているんですよ」そう言ったのはギルマス。
「まだ子供じゃないか。下層に連れて行くのは危険すぎると思うんだが」
ああ、心配して言ってくれてるのか。悪い奴ではなさそうだけど。
「このアンザックで五年もしぶとく生きてるんですぜ。ただの
ギルマス!余計な事言うな。全部ターニャのおかげなんだ。
「君はどうなのかな?」青年貴族が聞いてきた。
「あのー、何のことか分からないんですけど」
「ああ、そうだね、何も説明してなかった。実は今度、新しい階層が見つかった」
「聞いてます」
「それで調査隊を組む事になったんだ。ただ大人数になるし、資材も嵩む。それで優秀なポーターが欲しいんだ。君は優秀だと聞いている。危険な旅になるかもしれないが、全力で守ると約束しよう。どうかな、参加してくれるかな」
「駄目です!」ターニャが叫んだ。
「お前には聞いてないよ」ギルマスがターニャを睨んだ。
「アッシュはあたいの家族です。それに子供です。そんな危ないところに――」
「ギルマス権限で徴発もできるんだぜ。黙ってな」
こんの野郎、一回殺したろうか。
「お嬢さん、君は?」
「姉です。ターニャって言います」
「見たところ、冒険者だね。ランクは?」
「Dになったところです」
「ほう、若いのに優秀だね。どうだろう、アッシュ君の護衛にどうかな」
「駄目です!」今度は僕が叫ぶ番。
「おめーらは!贅沢言ってられないんだよ。アッシュ、おめえは徴発。ターニャ、おめえはギルド指名だ。決定事項だ。異論は認めん」
くそう、ギルマスに逆らってアンザックでは生きていけない。
こうなったらダンジョンマスターの全てを賭けてターニャを守り抜こう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます