ハリネズミ王国建国記念日
3人用声劇台本 コメディ
ハリネズミ国王:国王。性別不問。サラリーマンで右腕と左腕の上司。エイプリルフールの時だけハリネズミ王国を建てて国王になろうとする。
ハリネズ右腕:右腕。性別不問。国王の部下で左腕の先輩。ツッコミ属性だが今回振り回される。
ハリネズ左腕:左腕。性別不問。国王の部下で入社したての新人。お昼ご飯を早く食べたい。
⬇本編
国王「ということで本日はハリネズミ王国建国記念日である!」
右腕「いや、それ最初に言ったら終わりですって」
左腕「え、あの、ハリネズ……え?」
国王「なんだと!?時期尚早だと言いたいのかハリネズ左腕よ!」
右腕「いやこっちじゃないんですかい。そこは右腕に振るとこでしたでしょう」
国王「いや、そこはバランスとって行こうかなと思って」
右腕「何言ってるんです?」
左腕「え、あの、先輩これはどういう……?ハリネズ右腕とか左腕とか……」
右腕「ああ、ごめんごめん。これは年1起きるあの人の発作なんだ」
左腕「発作……?ですか……?」
国王「こら!ハリネズ右腕!なんてこと言うんだ!そんなこと言われたら国王が揺らぐでしょうが!」
右腕「そんなんで揺らぐならやらなきゃいいのに」
左腕「ええと、国王?」
国王「うむ!なんだハリネズ左腕!」
左腕「うわほんとに国王とか呼ばれようとしてるんだ……じゃなくて。その、ハリネズ左腕とは?」
国王「なんだと!?そんなことも分からずよくもハリネズ左腕になれたものだな!」
左腕「いや、今朝いきなり朝礼で任命されたのに普通に午前の業務はじまって、昼休みになったと思ったら屋上呼び出されたんですからわかるわけないです」
右腕「わかるー、デジャブだわー」
国王「くっ、右腕よりも具体的に現実に引き戻してくるワードセンス……流石はハリネズ左腕」
右腕「ていうかハリネズ左腕って。右腕はしょーもないギャグセンスでしたけど左腕に至ってはなんもかかってないじゃないですか」
国王「だってハリネズミ左腕って言いにくいし……」
右腕「ハリネズ右腕は言いやすいみたいに言わんでください。言いづらいわ読みづらいわしょーもないわでダメダメ三拍子ですよ」
左腕「それで結局これはどういう集まりなんでしょうか……私お昼ご飯食べたいんですけど」
国王「すごいリアル思考!今どき!でも負けない!」
右腕「ハリネズミ王国とか妄想に取り憑かれてるのあなただけですからね?」
国王「うるさい!ハリネズミ王国はある!ここに!」
左腕「みんなの心の中にとかそういうあれですか……?」
国王「ちがう!ここに!このビルの屋上に!あるの!2年くらい前から!」
右腕「っていうエイプリルフールネタね」
国王「右腕ーー!!!」
右腕「いいじゃないですか、巻き込んだら可哀想ですよ。せっかくの新入社員なのに」
国王「いやでも、こういう時しかできないしさぁ……」
左腕「なるほど……つまり、エイプリルフールだからハリネズミ王国とかいう嘘をでっち上げて王様ごっこしてたと」
国王「やめて!かわいそうな人みたいに見ないで言わないで!」
右腕「いや実際そうでしょ」
左腕「実際そうですね」
国王「うう……部下たちが冷たい……上司悲しい……」
右腕「もう国王じゃなくなっちゃってるじゃないですか」
国王「だってこれでもかってくらい現実に引き戻してくるんだもん……はぁ……儚いエイプリルフールだった……」
右腕「お疲れ様でした。さ、お昼食べましょ」
左腕「待ってください、先輩。いえ、ハリネズ右腕」
右腕「え……?」
国王「え……?」
左腕「私はただ状況を聞いただけです。そして理解しました。国王、このハリネズ左腕、必ずお役にたちます」
国王「お、おお……?」
右腕「ちょっとちょっと……?いいんだよ?無理しなくて」
左腕「いえ、全然無理なんてしてませんよ。いいじゃないですか、ハリネズミ王国。素敵だと思います」
右腕「いや、だからそんなものは存在しなくて……」
左腕「それですよ。そもそもなぜ存在しないのですか」
国王「それはまぁ、私が勝手に言い出しただけだから……」
左腕「それは2年前の話でしょう?2年あれば作れるでしょう。なければ作ればいい、簡単な話です」
右腕「作るって、そんなどうやって……」
左腕「そんなことも分からずによくハリネズ右腕になったものですね!?」
右腕「いや理不尽すぎないこの役職!?」
国王「って言っても、私ハリネズミ囲える環境がほしー!って暴れてただけだしな……」
左腕「いいですか国王、国を作る上で必要なのは国土と国民と政府です。国土はここ、国民はハリネズミ、政府は私たち。あとは財源とかあれば余裕です」
国王「余裕なの!?」
右腕「名乗るだけならね。ていうかそこまでやったらもうエイプリルフール超えてるでしょ」
左腕「え?まさかエイプリルフールだったんですか?」
国王「え?」
右腕「え??」
左腕「もうお昼ですから、午前中過ぎてますけど。エイプリルフール、終わってますよ」
国王「あ。」
右腕「あ……」
左腕「気づいてなかったんですか?」
右腕「全然……」
国王「そうだった、前は午前中休業になったから急にノリで始めたんだった……」
左腕「ほんとしょーもない建国理由ですね」
右腕「それは大いに認めるんだけど、えっと、もしかしてガチで作ろうとしてる?ハリネズミ王国」
左腕「はい、ガチで作ろうとしてます、ハリネズミ王国」
国王「え、なんで?」
左腕「ハリネズミ囲いたいからですけど」
国王「さすがはハリネズ左腕……」
右腕「もうこの人が右腕でいいんじゃないか……?」
国王「こ、これはもしやハリネズミ王国ほんとにできちゃう!?ハリネズミ囲っちゃう!?」
右腕「いやいやいや、後先考えましょ?維持できませんて」
左腕「優秀なハリネズミ専門スタッフに管理してもらいますから大丈夫ですよ」
右腕「大丈夫なんだ!?てか財源どうするの!?」
左腕「うちから出します」
国王「やっほー!ハリネズミ王国だあ!」
左腕「じゃあとりあえず店舗登録からやっときますね」
国王「うんうん!左腕に全部任せ……なんて?」
右腕「店舗登録?」
左腕「はい、店舗登録」
国王「え、え?なんの?」
左腕「ですから、ハリネズミ王国の」
国王「ハリネズミ王国、だよね?お店じゃないよね?」
左腕「ええ、まぁ、はい。設定的には」
右腕「設定とは」
左腕「お店の設定ですよ、ハリネズミ王国の」
国王「お店?ハリネズミ王国お店なの!?」
左腕「ええ、まあ。知らなかったんですか?私の実家のハリネズミカフェですけど」
右腕「ええー……」
国王「全然知らんかった……」
左腕「だからハリネズミ王国が何かって聞かなかったでしょう」
国王「たしかぁに」
右腕「えーと、つまり?ここの屋上に支店立てようとしてる?」
左腕「いえ、登記上はもう建ってます」
国王「え?」
右腕「え?」
左腕「済ませました、午前中に。登録ぜんぶ」
国王「ぜんぶ?どうして?」
左腕「だって朝礼で任命されましたし。仕事かなって思いまして」
右腕「やべー……左腕やべー……」
左腕「ということで、店長は右腕さんなので、よろしくお願いしますね」
右腕「はい!?」
国王「私は!?」
左腕「だって国王は国王でしょう?フロアのメインやる役職なので。右腕は店長ですね」
国王「え、いや、さすがにダメだって!考え直して!?」
左腕「もう登記済んでるので。今日が正式に建国記念日ですね、おめでとうございます」
右腕&国王「……そりゃないよぉ!!」
ハリネズミ王国建国宣言 レオ≒チェイスター @Shimokami-yuusa
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