転生メイドと元令嬢の逃亡録 ~お嬢様を支えていいのは私だけ。お嬢様と寝てもいいのは私だけ。お嬢様に愛されていいのは私だけ。~

南国ゴーレム

プロローグ

 何故、私の短剣が五本あるのか、教えてあげましょうか?


 いえ、怯える必要はありませんよ。ええ、大丈夫です。


―――ああ、そうじゃなくて、怯えても結果は変わらないという意味で。


―――金?  要りませんよ、そんなもの。私にはリリアナお嬢様が居れば、それで十分ですから。では、はじめますね。



 最初のふたつは―――



―――両腕を刺すため。



 次のふたつは―――



―――両足を刺すため。



 最後のひとつは―――そうですね、どこにしましょうか?……喋らないんですか?  なら、私が決めますね。



 その下劣で醜い顔面 ?

 ああでも、刺したらもっと汚くなっちゃいますよね。


 じゃあ、心臓を一突き?

 これだとすぐに逝っちゃいます。あなたもまだ生きたいでしょ?


  そうだ、その股間についてる邪魔なもの、 切り落としましょうか?  男の人にとって、とても大切なものだと聞いていますし。



 迷いますね……まあ、全部いっちゃいましょうか。


 来世では、ちゃんと豚に転生して下さいね?


 ああ大丈夫です。転生はあります。

 私は経験済みですよ。


 では、行ってらっしゃい。

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