壱
あの晩は、月の
だから、わたくしは その樹を目指したのですわ。
ぼうっと、
白い花びらが、
わたくしを手招きしていましたの。
男が、
男がひとり、樹の下で。穴を掘っているのが見えました。
男は、
わたくしが近づいても 男は気にするそぶりもなく、ただ黙々と、穴を掘っていましたの。
どうして穴を掘っているの? なんて、質問は
わたくしは、そんなことは尋ねませんでしたの。
代わりに、
「誰が入るの?」と尋ねましたわ。
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