第2話 ハムスター獣人

「なんで、こんなとこにハムスターが……?」

「みゅい」

「……」

 「みゅい」と鳴くハムスターらしき小動物。ベッドの下を覗くと、ケージがあり、その中でひとりぼっちだった。ひとまず取り出してみて、明かりの下に置く。……しかし、本当にハムスターだとは。大きさからして、ジャンガリアンハムスター。色は白だからスノーホワイト、目が大きくて丸い。そして、両耳が少し欠けていて、痛々しい。

 街を歩く中で、ハムスターを見かけたことは一度もなかった。だれかが飼っているとも聞いたことがない。なぜなら、ハムスターを始めとする小動物は、国が飼うことを禁止しているからである。寿命が短く、踏んでしまいそうなくらい危うい小動物は、扱いに注意が必要だ。絶滅危惧種にも指定されているが、一本の糸のように、命を紡いでいるとは、聞いたことがある。

「……すまない」

 国が禁止しているものが、ここにあることを疑うところから始まる。ケージの中を開け、ハムスターを持ち上げて情報を得られる分だけ得る。視力は問題なし、背中に複数の針跡あり、虫歯なし。……女性だ。

「へっくし!」

「うわ!」

「……」

 いきなりだれかのくしゃみが聞こえて、周囲が白いもやで包まれる。少しずつ晴れて見えたものは、ハムスターではなく……人間の女性だった!?

「ハムスター獣人か!」

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