異世界からの騎士候補スカウト

京極 道真  

第1話 パブロ現れる

前方に挙動不審な男子がいる。校門前の狭い坂道の歩道に生徒達がいっぱい。

挙動不審のその男子が動きをピタリと止める。両手をそろえて猛ダッシュで僕へ向かってくる。

反射で僕は回れ右。僕もなぜか猛ダッシュで彼に背を向け走り出す。

横目でちらり。えっ?挙動不審なその男子は僕をつかめることなく追い越していった。

僕はすぐさま立ち止まる。『なんだ、僕じゃなかったんだ。』

今度はゆっくりと回れ右。校門へ歩き出す。

「二条、どうした?見てたぞ。変な奴から追いかけられて、さっき猛ダッシュで逃げてただろう。」

「なんだ、イケ見てたのか?じゃあ助けてくれよ。僕はてっきり僕を狙って追いかけて来たって思ったから、必死で逃げてたんだ。やばかったんだぞ。」

「二条、そうだな。さっきの奴、ほんとやばそうだった。」

「へえー、何々君達、僕のこと噂してない?」そう言って挙動不審の変な奴が、僕ら2人の真ん中に割りこみ、僕らの肩に手を「ドスン。」重く乗せた。

条件反射で「ごめんなさい。」僕は思わず口にした。

イケも同じく「ごめんなさい。」と口にした。

僕らの両肩に回した腕が肩に重くのしかかる。

「いたい。離してくれ。」僕は挙動不審のその男子の手を振りほどいた。

その男子は少し驚いたようで「すまない。痛くするつもりはなかったんだ。

この世界に着いたばかりでこの世界のGの力が計算できなかった。すまない。」

この世界に着いたばかり?はっ?

だが、何だ。意外と素直で、すぐに謝る。こいつは、いい奴かもしれない。

「そうだ。僕は素直で謝れるいい奴だ。」挙動不審の男子が口にする。

えっ?脳内の考えを読まれた。こいつは何者だ?

イケも奴の言動に動揺している。

「イケ君、動揺しなくていいよ。僕は、いたって普通だ。」

運動神経の良い、イケはこの状況にすぐさま反応して言い返す。

「君、誰?僕達の考えていることがなぜ分かるんだ。」

パスしたボールを返すように滑らかな会話だ。

挙動不審の男子が「僕はパブロ。さっきも言ったけど、この世界に着いたばかりさ。

僕はベルガル王国の騎士団長だ。この世界には、ベルガル王国の騎士候補をスカウトに来たんだ。」

「イケ、訂正する。こいつはマジ危ない。遅い中2病のようだ。」

イケも「そのようだ。」

僕らは改めてパブロの身なりを見た。騎士だ。騎士の鎧を着てる。

僕は「パブロ、コスプレにしては作りが本格的だな。」

「当たり前だ。本物だ。」

僕らはハモって「えーっ!」

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