第2章32話:準備
まあ錬金術で武器でも作れば、檻を壊すことぐらい容易だと思うが。
(ん……アイテムバッグがないな)
そのとき俺は、自分の腰からアイテムバッグが消えていることに気づいた。
拳銃もない。
……奪われたのか。
俺が勝手に素材を使って、錬金術をしないために、アイテムバッグを取り上げたのだろう。
(バカな連中だな)
と俺は思った。
俺はほとんどの素材をアイテムバッグではなく、アイテムボックスに保管している。
ゼルリウスたちは、俺がアイテムボックスなどというチート特典を利用できるとは、想像すらしてないだろう。
俺にとってアイテムバッグなんて、アイテムボックスの存在を隠すための、カモフラージュに過ぎないのだ。
(だったら、アイテムバッグを失って、錬金術を使えなくなったフリでもしておくか)
素材をうしない、打つ手がなくなったようなフリをしておけば、ソレを
そういう演出をするなら、
檻を破壊できる兵器やスキルを持ってると思われるかもしれないからだ。
俺を、檻から出られない
「さて、」
ゼルリウスたちが来るまで、暇だな。
(いまのうちに
そう思って、俺は作業を始めた。
どれくらい経っただろうか。
遠くで扉が開く音がした。
次いで、コツコツと
誰か来たようだ。
やがて檻の向こうで、ランタンの
ランタンの
「どう? 牢獄の
ジェーンである。
俺はため息まじりに告げた。
「空気がよどんでいて最高だな。肺を悪くしたい人には、おすすめの
「そう」
ジェーンが鼻で笑ってから、檻をあけた。
中に入ってくる。
俺は尋ねた。
「檻をあけていいのかよ?」
「別にいいわよ。あなたが逃げ出そうとしても、取り押さえるだけだし。私を攻撃してきても、制圧するだけだから」
なるほど。
ナメられてるな。
……まあ、当然か。
ジェーンは結構な
拳銃とアイテムバッグをうしなった俺など、いつでも叩き潰せる雑魚と思っているのだろう。
「いまからあなたを、ゼルリウスの【家畜】として教育する」
「……教育」
「ええ。【家畜】は
絶対服従の練習……
それを実行させることで、俺の心を折るということか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます