未完成リコン
村山えりこ
プロローグ 3月24日 西田涼子
3月24日(日曜日)11:00 みゆの質問
「え?何て言ったの?」
日曜日のお昼、ボーっと考え事をしてたら、娘のみゆが急にたずねてきた。
「ママ、いつリコンするの?」
涼子は動揺をおさえて、みゆにたずねる。
「どうして?」
「だって。あんなに暴力ふるわれて、やってられないでしょ。私がいなかったら、とっくに別れているでしょ?」
やっぱり、娘は2年前のあの事件からだいぶん大人になったんだ。
みゆは今14歳、あれは12歳の夏のことだった。
あの頃の娘は「パパがかわいそう」「パパが警察に捕まったらどうしよう」「ママはひどい」と言っていたのに。
(その時が来たんだな…)
『3月は、1年の中で最も離婚件数の多い月です』
そんな統計データがあるとニュースで知ったばかりだった。
“円満離婚”を目指す夫婦が開く「離婚式」というイベントまであるという。
(そんなの私達には不可能だろうな)
というより、そのニュースがあり得ないと思った。離婚している友人は何人も見てきたが円満だった話は一度たりとも聞いたことなどない。
「あり得なさすぎてニュースになったんでしょうよ」
自分の
涼子は、その日の夕方のニュースを食い入るように見ていた。
『離婚後の「共同親権」の民法改正の修正案が衆院法で可決されそうです』
いま巷で議論になってる“共同親権“という文言は2年前からあちらこちらで流れていたはずなのに。
涼子は自分に関係ないと思って、聞こえていたけど、聴いていなかった。
この日から23日後に、涼子はリコン弁護士に会いに行くことになるとは予想していなかったのだ。
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