第2話 これが平成初期のパソコンだ
ここで当時のパソコン界隈の状況を説明しておきます。
現在のWindowsのような統一されたOSは存在せず、各社がバラバラ好き勝手に機種を市場へ投入していました。厳密にいえばマイクロソフトが設計したMSーDOSと『同じ名前』のOSが使われていましたが『同じ名前』というだけで『中身は別物』でした。
具体的に説明するとNECのPC-98というパソコンに使われるMSーDOSはマイクロソフトのオリジナルにNECが手を加え改良した別物なのです。
これは富士通のFMタウンズやシャープのX68000では動きませんし、逆もまた同じ。そのパソコン専用のMSーDOSが必要だったのです。
そんな難儀な時代ではあってもビジネス現場で使うためのソフトウェア(アプリ)は販売されていました。ワープロの松や表計算のロータスなどが有名でしたね。
ネットからダウンロードなんて当然出来ませんよ。そもそもインターネットなんてこの時代に存在しません。プログラムデータは『フロッピーディスク』に記録され大きな箱に収まってパソコンショップで販売されました。
ちなみにソフト一本のプログラムデータは数枚のフロッピーディスクに分割され、その枚数は10枚、20枚、それ以上の場合も。それらを一枚ずつハードディスクにインストールしてからが『本番』です。
外付け
『レーザープリンター』が50万円ほどで売られていた時代です。
だから大手企業でも数万円代で購入可能な『熱転写プリンター』が当たり前。
ぼくの前職である海上自衛隊なんてワイヤードットプリンターが現役だったのですよ。凄まじいパンチ音をあげながらロール紙に英文を叩きだしていました。
だから売り上げの低い中小企業あたりになると「パソコンなんて高いばかりで役にたたん」と往年の経理マンがソロバンを弾いていました。ギャグではありませんよ。それが当たり前の光景でした。
パソコン本体は30万円くらいが相場でしたね。ハイパー98なんて100万円でした。安いMSXというシリーズもありましたが、安いと言っても一般的な学生は躊躇するお値段でした。
じゃあ、そんなものいったい誰が買っていたの?
その疑問は当然でしょう。これらは、ようするに『電子系ヲタクのおもちゃ』だったのです。
NECなどは「お仕事が楽になります」とPC-98をビジネス用途へ売り込もうと必死でしたが、やはり買うのは「なんか面白そう」とヲタ成分の強い若手社長。自分用に購入して遊んでいたのです。
世の中は「電卓と計算用紙」があれば事足りていたのですから当然です。
さて、ならば一般的なパソコンショップはどうやって利益をあげていたのか。
それは『エロ』です……あ、閉じないでください。真面目な話ですから。
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