存在しない国

@LaMagia

存在しない国

世界が多くの分岐している。

いわゆる普通だと言われている世界。

何年後では、ダンジョンが生えてくる世界、生えてない世界。

ダンジョン業が発達していたりしていなかったり。

生放送できたりできなかったり。

なんらかの原因でこれらの世界より遥かに遠い分岐に転移しているものも。

冒険者がいる。貴族もいる。中世ヨーロッパととてつもなく似ている世界。

神も一つしかないと言われているものもあれば、何人何十人が関わるものも少なくない。

それらは運命の関与があるのか、それとも世界の支配者が脚本に書いただけなのか。

普通の世界に住む私には、知る由もない。


こっちの世界には、救済は本当にあるのか。今のところ、ダンジョンの出現や勇者の召喚などは到底ない。少なくとも、表にはないものとされている。上は隠蔽に走っていたのか、それとも単に私は知らないだけなのか。

ここはマナがあるのか、鍛錬すれば魔法が使えるようになるのか。

そんな私は、ファイヤーのポーズを出して考える。

これは、日本というところに当たる異世界でよく聞く魔法もポーズである。いまここでは本場と思うが。


うまくいきませんね。


そもそも、なんでニホンという意味不明な羅列に象形文字的な設定を言い張るやつは複数いるんだよ。それに加えて、ニッポンという別の読み方があるという狂った考えが信仰しているニッポン教徒も多くいる。

ここが異世界だと言い張る邪教徒だ。そうに違いない。


妙に真実味があると思う。

それもあって、ここは魔法がある世界だとおもうんだよね…

そういう文を見て、ここはニホンという国と非常に似たところだと認識できる。

ただここは国という概念が廃れて、現在は地球を統一している皇帝とわれわれ臣民のみ。言語の概念もなく、世界語だけが使われる。

海などは閉鎖され、陸も行ったら帰ってこないところも多い。

だから陰謀論が蔓延はびこって、ここはたった一つの国にしかない、ただの国という狂った思考を持つ人が少なくない。そういった人は国家転覆として処刑されます。

バカもいるもんだ。


ニホンもパソコンあるという情報が小説を読んで驚いた。

こんなここと似た異世界設定どこが面白いんと最初思ってたけど、今はすっかり馴染んだ設定で、そのニホンがこっちの世界だと言い張りそこからダンジョンを生やすものが多くなっている。

ニホンは島国っぽいから、一説では海の向こうではないかというものだ。

無稽だ。海の向こうは機密だ。小学校から学び直せ。

今日もインターネットを閲覧してたら変なサイトが出た。


世界語が使われていてる。

でも全然読めない。丸い文字っぽいなのとカクカクな文字がある。

見たことがないが、所々のヒントから見るにこれが日本語というものだろう。

なぜパソコンがそんなフィクションに出る文字が表示できるのか。多分このサイトがわがなにかしらの設定をしただろう。

この偽物の言語では、世界語のことが変な呼び方された。

どす黒い感情が出る。

世界語を侮辱するな。

皇帝国を侮辱するな。


ブラウザの機能で、通報が「閉じる」ボタンのすぐ横に設置している。

普段だったら邪魔と思っていたが、今はありがたい。

すぐに通報を押した。

国家転覆を謳っているサイトだ。

今すぐ消したい。

その日、そのサイトは閲覧不可になった。


そこから「日本語」のサイトがよく見るようになった。

理由はわかっている。

なぜパソコンは存在しないはずの言語を表示できるのか。

パソコンにそこそこ詳しいわたしは、それに気になって仕方がなかった。


まさかと思うが、フィクションなのはこっち…

違うか。

陰謀論者が作った偽物のサイトに違いない。

ホワイトリストを突破できた、自分こそ正しいと言いふらした人たちだ。できないものはないと思ったほうがいい。


そういう偽サイトを見るとき、自分こそ正式版であるブラウザに遭った。

それをインストールしようとしたら、システムを保護するプログラムが起動して、自動的に変なアイコンのプロテクターがインストールされた。

ただどうしても気になる。

皇帝命令でパソコンに必ずインストールしなければいけない保護プログラムを一時停止する方法が発見した今日、そのときが来た。

なぞのプロテクターをアンインストール。保護プログラムを一時停止。ようやくインストールできるブラウザ。

それは通報機能がなく、フィクションとされる日本語や英語がある偽物のブラウザだけだった。


曰く、国という概念が存在。

曰く、言語も多岐ある。

曰く、皇帝国オフィシャル推奨のブラウザが専用のホワイトリストがある。

曰く、皇帝国が独裁で、外部の交流を断絶。

見れば見るほど、腹が立て来る。


皇帝が嘘を言ったと言うのか?

国が迫害者だと言い張りたいのか?

そういった疑問を胸に、生活が続いていく。


周りの人が多くなっている。

最近見ない新聞紙を読む人、飲食店でメニューを見る人、路駐で休憩を取る人。

人が多くなると、最近視線が多く感じる。

私みたいさえない人をわざわざ見ないもんね。


急に車が私に向かって走ってくる。

最近多くなるAI暴走が原因だろう。

もう間に合わない。

直感で感じた。だから避けなかった。


暗闇。


ただ、視線を一気に散った。


良かった。醜態を見られたくないからな。

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