仮装大賞

ごむらば

第1話


【10番 カツオの一本釣り】


司会者の案内で幕が上がり出てきたのは、2人の男性釣り人。

釣り人2人の竿は太く、釣り糸というよりはロープ、仮装大賞だからクオリティはそんなものだろうと思っていた。

しかし、そのロープに引っ張られて出てきたのはクオリティの高い波のイラストがついた台車、そして大きさこそ人と変わらないが、本物と見間違えてしまうほどのクオリティのカツオが2匹。

カツオは台車の上でピチピチと跳ねている。


釣り人はカツオが近づくとグッと引き揚げ、釣り人の1人はカツオを抱き抱えた。

かなりリアルなカツオに目を奪われる。

釣り人を演じている男性よりは小さいが、かなりの大きさのカツオ。

カツオを演じているのはおそらくは女性または子供だろうか。

体力的なものを考えると成人女性がカツオの着ぐるみを着ていると考えるのが有力だ。


抱き抱えられても激しく跳ねるので、釣り人は船の外、後ろ側へカツオを落としてしまう。

そこにはクッションを敷いた上に水飛沫を色紙で表現し、カツオが落ちると激しく紙飛沫が舞った。

カツオを落とした男性は落としてしまった方を見ながらガックリと肩を落とす。


もう1人の釣り人は、もう1匹のカツオを釣り上げると、すぐに舟の中へ下ろした。

カツオは舟の中で、なおも激しく跳ね続ける。

釣り人2人が手を挙げ、ガッツポーズ。


すると、得点が少しずつ上がっていく。

しかし、点数は合格の一歩手前で停止、合格点には届かなかった。

司会者も出てきてカツオが頑張ってるよと審査員に声をかける。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る