第8話
「おいおい!負けたからって言い訳は無しな!」
良治は楽しくてしょうがない。
「サキさん、強いですねぇ~」
「ありがとうございます。とても楽しかったです」
「いえいえ。まだまだ対戦相手は居ますのでもっとやりましょうよ!」
良治はこの際、いつも負けている相手を
サキにボコボコにして欲しいと思っている。
そしてサキは負けなしでお昼まで来た。
「サキさん凄い!負けなしですね。
少し早いですが、お昼にしましょう。
家の近くに食堂があるのですが、そこはとても人気のあるお店なので
お昼から行くととてもじゃぁ~ないけれど混雑して待ち時間が多いんです。
兄からお金も貰いましたので食べに行きませんか!」
良治は店が混雑するのを避けるため11時までには食堂へ入りたい。
「えっ!お昼をご馳走になっても良いのですか!」
「勿論ですよ!
サキさんがどんどんやっつけてくれるので気持ちがいいです」
「でも良治さん、良治さんの名前で
私が相手をやっつけてしまうと言う事は大丈夫なのでしょか?
私が居なくなったら困ったことになりませんか?」
「あ!……そこまで考えていなかった!
う~ん……対戦相手には後で謝って置きます……
まあ、それはそれで、食堂が混まないうちに行きましょう……」
良治は後で謝らなければならない事に落ち込みながらも
混まないうちに早く食堂に行こうとしている。
「ウフフ。それでは行きましょうか!」
サキは良治を労わる様に優しく言う。
食堂に行くと、まだお昼時間には少し早いので人はまばらだ。
「おう!やはりこの時間だと待ち時間なしで食べる事が出来る!」
良治は嬉しそうだ。
「サキさんは何にされますか?」
「そうね。良治さんは何を注文されるのですか?」
何を注文すれば良いのか分からないサキは
良治が何を注文するのかを聞いてみた。
「此処は牛丼が美味しいので俺は牛丼を頼もうかなぁ~」
「あ!それはいいわね!私も良治さんと同じものをお願いいたします」
「俺は大盛だけど、サキさんはどうします?」
良治はメニューの大盛を指で押しながら言う。
「あ!そうね、私はこちらの中盛をお願いします」
サキは良治の注文した隣に有る少し小さな中盛を選んだ。
直ぐに料理が運ばれて来て二人は笑顔で食べると
「あ!とても美味しいわ!」
「でしょう!此処の牛丼はとても評判が良くて
いつもなら大混雑していて大変なんですよ。
喜んでくれて良かったです」
良治もサキの笑顔を見る事が出来て嬉しい。
食事を終えてから良治は友人の女の子が操縦しています。
女の子なので1対1でお願いいたします。と公表すると、
対戦相手は女の子だと聞き大喜びで対戦を申し込んでくるが
全てサキに撃墜されてしまう。
その時、良治の兄から携帯に連絡が入る。
「あ!兄貴からだ!サキさん、
入って来た人と適当に遊んでいてください」
「はい」サキは直ぐに対戦を始めてた。
「はい。もしもし」
「おい!良治。もうお昼時間だが、ゲームばかりやっていて
サキさんをほったらかしにしていないだろうな?
お昼はちゃんと何処かへ行って美味しい物を奢るんだぞ」
「うん。お昼になってからだと食堂が混雑するから
早めに二人で食堂へ行ってお昼ご飯は済ませた。
今、サキさんはフライトゲームをしているんだけど
サキさん、物凄く強いぞ!」
「何だって!サキさん、フライトゲームをしているのか!」
「うん。サキさんは物凄く強いので負け知らずだ!
見ていて気持ちがいいぜ!」
「ま、楽しんでもらっているのならいいが
ゲームばかりでなくて外の景色も見せてあげろよ!」
「解った!」
サキは良治が兄の良介と話をしている間に
新しくマッチングした人物と対戦している。
しかし、良治が電話を切ると同時に
「こんにちは~誰かいる?」
と、隣のおばさんがやって来た。
「あ!おばさん。こんにちは」
「こんにちは。今ね、お饅頭を作ったの。食べて頂戴な」
「あ!それはいつもありがとうございます。頂きます」
良治が頭を下げると
「ちょっとお願いがあるのだけど……」
「はい何でしょうか?」
「二階の部屋の電気が点かないの。見て頂ける?」
「はい。いいですよ」
良治はサキの事が気になるが
ゲームをしているからいいかもと思い隣へ行く事にする。
その頃、サキと対戦している人物はかなりの腕前だった。
(この人、今まで対戦してきた人たちとは全く違う!とても上手ね。
まるでレイを思い出させるようだわ……
あ!そう言えばレイ……今頃どうしているかしら……
お父さんやお母さんも心配しているよねぇ~……
サキは相手と対戦しながらも友人や家族の事を事を考えている。
暫くして相手を撃墜するが、
“貴女はとても素晴らしい操縦センスをお持ちですね。
貴女さえよければいつか会って頂けませんか?
もしも会って頂けるのであれば、いつでも迎えに行きます”
との書き込みが入る。
(あら!返事はどうすれば出来るの?……)
サキは何をどうすれば返事が出来るのか判らず良治を探すが
良治が何処に居るのか判らず家の中を探す。
丁度玄関に帰って来た良治は
サキが玄関口まで来ていることに驚いている。
「あ!サキさんゲームは終わりましたか?」
「良治さん、対戦していた人からメールが来たのですが
返事を書くのはどうすればいいのでしょうか?」
「あ!対戦相手からメールが来たのですね。どれどれ」
そう言ってシミュレーターの置いてある部屋へ行きモニターを見ると
「あっ!これは平岡さん(70)ではないですか!」
続く
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