運命の分かれ道
優美
第1話
運命の分かれ道
優美
サキは可愛くて優しく
頭もよいのでクラスの人気者だ。
そんなサキは飛行機の操縦が大好きで
大きくなったら国防軍の
空軍に入る事を夢見ていたが
国防軍の空軍と言う仕事は危険が伴うため
サキの父(リュウ 45)は
国防軍ではなくて自分の様に星から星へと
物資を運ぶ輸送船の船長になると言うのは
どうだろうとサキを説得し続けていた。
そんなサキの父リュウはサキが
夏休みの時などにはサキを連れて
自分の乗る輸送船の操縦席に座らせて
操縦法などを教えている。
その甲斐もあって、
サキ(17)は父の様に物資を運ぶ
輸送船の船長になろうと思っている。
そして今サキは宇宙船の船長になるために
飛行士養成学校で勉強をしている。
「この部品を取り付ける時には
バランスと位置が大切なので
取り付け途中では絶対に作業を中断しない事
もしも途中で作業を中止する場合には
必ず固定金具を使って保持しておくこと!
此処は試験に出ますよ!
しっかりと覚えておくこと!」
サキは座学、特に他の星の法律や歴史などは
大の苦手なのだが、宇宙船の整備方法や
操縦方法の勉強は大好きで
瞳をキラキラと輝かせ熱心に聞いている。
「ねえサキ、午後からは
フライトシミュレーションね」
同級生でよきライバルのレイ(17)も
サキ同様に座学は嫌いだが、
実習は大好きなのでサキに
嬉しそうに話しかけてくる。
「ほんと!お昼からは
フライトシミュレーションね!」
サキも座学よりも身体を動かせる
実習の方が大好きで瞳を輝かせている。
「早く食事を済ませて早めに
シミュレーション室へ行くわよ!」
サキはレイを急がせる。
食堂で人より早く食事を済ませ
二人でシミュレーション室へと急ぎ
二人共2台のフライトシミュレーターの
スイッチを入れ作動させると
いつもの様にお昼時間が終わるまで
お互いに併飛行や模擬戦
そして離着陸などをする。
そしてお昼休みも終わり
フライトシミュレーションの時間となるが
サキは家に帰れば
自分の部屋に設置してある
フライトシミュレーション部屋で
戦闘機を飛ばして敵を撃墜したり
輸送船に乗り色々な星々へ飛んでいき
物資を積んで他の星へ届けると言う
時間を過ごしているし
父と一緒に実際に実機での離着陸などの
操縦を経験しているサキに
クラスの学生は誰も敵わない。
そんなある日、色々な宇宙船の
組み立て工場を見学したり
フライトシミュレーションも
体験出来ると言う
イベントを見つけたサキは
レイも一緒に見学しようと言うが
レイは母親との約束が有り
行けないと言うので
12歳から自動車の運転を
する事が出来るジブ星で
自分の車を持っているサキは
一人で行く事にする。
組み立て工場では数台の宇宙船が
組み立てられているのだが、
修理の為に入庫している宇宙船も有った。
勿論、サキは
組み立て途中の宇宙船も魅力的なのだが、
何よりも完成していて
動く宇宙船の方が興味をそそられる。
そして
エンジン燃焼テストが行われると言う
近くの場所でサキは父の姿を見つけた。
(あら!お父さん!
今日はお仕事お休みなので
家に居ると言っていたのに
此処に来ていたのね)
サキは窓から見える父に
手を振るが気付いて貰えない。
会いに行こうと思ったその時、
燃焼実験が始まり轟音が鳴り響いた。
(確か、2階ほど
上だったわね。行ってみよう)
サキは列を離れ通路には
進入禁止のバリケードが有るが
早く父の所へ行きたいサキは
近道をする為に構わず通過し
階段を駈け上がった。
直ぐに案内係のタブレットには見物者が
指定場所以外に移動したと警告が出るが
エンジンの燃焼音に
かき消されてしまっている。
サキは父親がいたと思われる階に
着いたのだが誰も居ない。
(へんねぇ~?確かに
此処を歩いていたと思ったのに……)
サキは父を探して小走りに通路を走る。
丁度その時、整備士が全長2,000メートル
直径400メートルの中型輸送船の
ワープリングの部品交換をしているのだが
取り外しが上手く行かず
二人の整備士が苦労していた。
「リモコンは修理不可能で
交換しなければいけなくて
入庫は明日だってさ!」
「何だって!ワープリングの部品の
入庫も明日だって言ってたよな……
それなら修理を急がなくてもいいが
ま、こいつだけは外しておこう。
う~ん……しかしよく締まっているな!
誰だ!こんなに固く締めたのは!」
整備士は1本のボルトは緩んだのだが、
もう一本のボルトが緩まず苦労している。
「長いパイプを持って来よう」
もう一人の整備士がそう言って
パイプを持ってきて
パイプを渡そうとしたその時、
パキンと音がしてボルトが折れてしまった。
しかしその反動で整備士の身体が
パイプを渡そうとしていた
整備士の身体に当たり
パイプを持って来た整備士は
自分の顔面にパイプを当ててしまうと同時に
パイプを持ったまま激しく床に倒れ込み
後頭部を強打して気を失った。
「おい!大丈夫か!」慌てて声を掛けると
「ううう……」何とか返事はするが
顔面と頭部からの出血がひどい。
慌てた整備士は同僚を起こして肩を貸すと
両手で顔と頭から出血している部分を押さえ
出口へと向かう。
輸送船と工場とを繋いでいる通路で
関係者以外は輸送船内に入れないように
監視している監視員は
「あっ!どうしました!!!」
二人の姿に驚き整備士に肩を貸す。
「ボルトを外していたのだが
取り外しに失敗してしまった」
とりあえず監視員は
二人を監視室の椅子に座らせるが、
「これは此処で応急的に
と言う訳には行かないです!
医務室へ運びましょう」
そして、サキが通路を
通り過ぎようとしたその時、
開かれたままになっていた扉を見つけた。
(あ!扉が開いているわ!
この宇宙船の中に入ったのね!)
サキは急いで監視室の前を通り過ぎ
宇宙船の中に走り込み中に入ると
左右に通路が別れていたが、
サキは直感で右へと走った。
続く。
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