トキドキ・ツレヅレ・カコイマミライ

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第1話 きっかけはあのアニメ

 カクヨムに登録してすでに五年以上が経過しましたが、今まではオリジナル小説を中心に書き続け、いわゆるエッセイ・ノンフィクション物は、振り返ると「What a wonderful world~この素晴らしき世界」(2021年)だけでした。

 自分自身のこと、言いたいことを赤裸々に綴るのはどこか気恥ずかしくて、ずっと避けてきたつもりですが、最近カクヨム内で行われている「黒歴史」コンテストを見て、自分のことをある程度晒すのもそんなに悪いことじゃない、と思えるようになりました。


 この作品は、タイトルの通り、時々思い出したかのように不定期に更新する予定です。内容は、自分の過去、今の自分自身、そして未来の自分への願望などを赤裸々に綴る予定です。

「近況ノート」も並行して更新しますが、あちらでは文字通り自分の「近況」とカクヨムでの更新情報などを中心に綴り、こちらと内容が被らないようにしていくつもりです。


 最初の話題は、自分の過去作品の遍歴です。

 先述の「What a wonderful world」の中でも少し触れてみましたが、今回はそれよりも深掘りしてみました。


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 最近、映画館でとあるアニメがリバイバル上映されております。

 その名は「名探偵ホームズ」。

 イギリスのコナン・ドイル原作の名作を、先日アカデミー賞を受賞した宮崎駿監督が東京ムービー新社時代にアニメ化したもので、1984年に映画として「風の谷のナウシカ」と同時に上映した後、1984年から85年にかけてテレビ朝日系列でも放送されました。

 登場人物は、主人公のシャーロック・ホームズをはじめみんな犬で、作品は原作をなぞりつつも、子供が見ていることを意識してか「タイムボカンシリーズ」のようなメカが登場し、「ホームズ対モリアーティ教授」という構図をより明確化していたり、ハドソン夫人が「めぞん一刻」の響子さん並みに若くて美人だったりするなど、ミステリーというよりエンターテイメントとして楽しめる作品となっていました。

 私は子供の頃、この作品にどっぷり嵌り、毎週ワクワクしながらテレビの前でかぶりつくように見ていた記憶があります。


 アニメ放送終了後、余韻を忘れられなかった僕は、ホームズに関する本を本屋や図書館で探しまくりました。そして僕が図書館で手にしたのは、コナン・ドイルが書いた原作の「シャーロック・ホームズ」シリーズでした。本当はアニメ版の原作本が読みたかったのですが、なかなか見つからず、よりによってドイルの書いた難解な原作に手を出してしまったのです。当然のごとく、あの頃の自分には文章があまりにも難しくてとっつきにくく、何度も途中で読むのを止めようと思いました。

 しかし僕は「ここから先には、きっとアニメに出てくるようなモリアーティとのハチャメチャな戦いが待っているに違いない。若くて美人なハドソン夫人が出てくるに違いない」と信じてて疑わず、あきらめることなく黙々と読み進めていました。

 読み進めた結果、モリアーティはシリーズのうちほんの数話だけしか出てこず、ホームズとともに滝に落ちてしまった所で出番が終了してしまい、ハドソン夫人に至っては掃除や給仕を行うおばさんとして描かれており、すごくがっかりしました。しかし、読み進めるうちに、僕はアニメと違ったこの作品の面白さに気づき始めました。クールで知的でおしゃれなホームズの描写、作品の舞台になるビクトリア朝のロンドンの描写など、学校の教科書に掲載されている小説よりもずっと大人っぽくて新鮮に感じていました。

 これがきっかけになり、僕は自分でもホームズのようなスマートでカッコいい探偵小説を書いてみたい、という衝動にかられ始めました。


 そしてついに僕は意を決し、人生で最初の小説を書きました。

 その名も「小さな名探偵」。

 舞台はロンドンではなくパリ、そして主人公は当時の僕と同じ十代前半位のフランス人の男の子・ヘリー。助手としてスイスから留学に来ている同級生の男の子・センパー、そして同じく同級生で主人公の恋人であるフランス人の女の子・スザンヌ。

 ヘリーは正義感が強く、推理も緻密で運動神経も抜群、スザンヌはいつも主人公を見守り、恋人として心を寄せていました。一方センパーは助手としては優秀でしたが、くだらないギャグを飛ばしたり、いざ推理するとどこか間抜けで、主人公を失笑させてしまうこともありました。スザンヌからもいつも冷たい目で見られ、自分で書いていてなんだか可哀想な存在でした。

 この三人で探偵事務所を開き、数々の凶悪犯罪を繰り返す「フラッペ三世」に立ち向かうというものでした。

 作品設定や登場人物は今思い返すとあまりにも荒唐無稽ですし、折角難しい原作を読んだのに自分の作品に全然生かされていないのが笑ってしまいますが、当時は悪ふざけなしに、一つ一つ真剣に考えて編み出していました。

 ヘリーは名推理でフラッペ三世の悪事を暴き、追い詰め、ついには一対一で対決するのですが、フラッペ三世の大人げない攻撃の前に無力なヘリーは太刀打ちできず、力尽きてしまいます。

 恋人であったスザンヌはヘリーの死に愕然とし泣き崩れますが、センパーがスザンヌに「自分がヘリーの遺志を継ぎ、いつの日かフラッペ三世に反撃する」と約束したところで最初の小説が終了しました。

 ちなみにこの作品を出してから三年後に続編を書きましたが、そこではセンパーが別な事件で再びフラッペ三世と対峙し、見事に引導を渡しております。

(このあたりの展開は、当時僕が嵌ったもう一つのアニメ「タッチ」にも影響されているかもしれません(笑))


「小さな名探偵」シリーズを書き終えた時には、さすがに書く気力もネタも尽きて「小説はもういいや」と思いました。

 しかし、小説から離れていた空白期間はほんの数年で、気が付くとまた書き始めておりました。そのきっかけは、当時嵌ったファミコンのアドベンチャーゲームでした。


 このエピソードは、また後日紹介しますね。

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