第162話心霊体験?
そんな体育祭が終わったある日、私は摩訶不思議な体験をした。私が新聞配達をしに、一番最初の家に向かって自転車をこいでいた時の話である。田んぼに囲まれるようにお墓があって、その墓のすぐ後ろにある家の壁に、何やら薄明るく光るぼーっと発光するものを見たのである。
「何だぁ~?」
と思いながらその光るものを見つめていた。その夜は満月だったため、月の光が何かに反射して、壁に映っているのかとも思ったのであるが、見ているうちに上下前後に激しく動き出して、スーッと消えていったのである。お墓のすぐ近くということで、私は気味悪くなり、全速力で自転車をこいでその場を離れた。
「ひょっとしたら今日見たのは人魂なのかも?もし人魂だったらどうしよう…。俺は呪われるのか?」
そう思ったが、その日は特に何か変わったことが起きることなく過ぎて夜を迎えた。そして、私が寝ていると、突然体が全く身動き取れなくなって、全身が硬直したような感じがした。そして、ヒタヒタヒタと家の廊下を歩く足音らしき音が聞こえて、私の部屋の前でそれは止まった。それと同時に何かしらものすごく重たいものがのしかかってくるような感覚がして、目を開けようとしたが、どうしたことか目が開かない。そして私の耳元で何かささやく声がした。よく聞いてみると、しわがれたお婆さんの声で
「お前を迎えに来たよ…」
と言うのである。私はそちらの都合で勝手に迎えに来てもらっても困るということで、必死になって私が知っているお経を唱えた。そしたら私を押さえつけている何かの力が少し緩んで、右手が動かせるようになった。そしてその動かせるようになった右手で、私を押さえつけている相手の手と思われるところを思いっきりつねってやって、さらに大きな声でお経を唱えると、私を押さえつけていた何者かは
「ギャーッ」
と言う叫び声を残して消えてなくなり、そしてふっと目が開くようになって飛び起きた。
「今のはいったい何だったんだ?」
そう思いながら再び眠りについた私であるが、あの時ひょっとしたら、人魂を目撃して、そのお墓に眠っている誰かの魂と引き合って、幽霊となって私の家までついてきたのかもしれない。私はどちらかと言えば、幽霊とかお化けとか、そういった類のものは一切信じていないのであるが、このとき体験したことは今でも私の中で大きななぞとなっている。もしあの時、私が
「お前を迎えに来たよ」
と言われて、何の抵抗もせずにおとなしく従っていたら、本当にあの世に連れていかれてしまっていたかもしれない。
ちなみにあれは夢だったのかとも思ったのであるが、私が相手の手と思われるところを思いっきりつねったとき、相手が断末魔の叫びを残して消えた後、私の手には、はっきりと何かをつねった感触が残っていて、さらに何かに抑えられていた手には、その痕跡が残っていた。あれは本当に一体何だったんだろう?
このことがあってから、そのお墓のある家の前を通るには嫌だったのであるが、そこを通らないと最初の家に行けないので、仕方なく通っていたが、なんとも言えない、不気味な体験であった。あれは夢だったのか、それとも本当に幽霊と言うのが存在していて、私を連れて行こうとしたのか…。どうなんだろう?
この不気味な体験は、これで終わったのかと思っていたのであるが、4年後に再び私を襲うこととなる。
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