第82話コラム~いじめ被害者に絶対言ってはいけないNGワード

 いじめ被害者に対して、周りの大人や、いじめ被害者の友達はどのように接したらいいのか、いざ、いじめの被害の相談を受けたら、どのように対処すればいいのか、悩んだり不安に思ったりすることもあるかと思う。

「自分がやられたら」

っていう自分に置き換えて考えるというのも、いざ経験しないと難しいかもしれない。ただ、いじめ被害者に対して、何らかの相談を受けた時に、絶対と言っていいほど、言ってはいけないNGワードがある。それは

「いじめに負けるな」

「頑張れ」

と言う言葉。

「なんで?」

って思うかもしれないし、

「励ましてる言葉じゃん」

って思うかもしれない。しかし、それらの言葉は被害者をさらに精神的に追い詰め、奈落の底に叩き落す言葉であるということを知っておいていただけたらと思う。

 それでは、具体的に、なぜ

「頑張れ」

「いじめに負けるな」

と言う言葉が被害者をさらに精神的に追い詰めてしまうのか話していこうと思う。

 まずいじめ被害者が誰かにSOSのサインを出すというのは、それまで非常に苦しい思いや痛い思いをする状態が長く続いて、精神的・肉体的に限界に達した状態であるということを知っておく必要がある。まだ精神的に余裕がある場合は、自分でいじめを何とか回避しようとか、耐えて頑張ろうとか、そういう思いでいられるのであるが、精神的苦痛が長く続くと、だんだん精神的に余裕がなくなり、非常に追い詰められていって、もはや最後の手段として、誰かに自分が置かれている現状を訴えて、SOSのサインを出すのである。そう、SOSのサインを出すまでの間に、限界までいじめと戦って、頑張って耐えてきた時間があるのである。長い時間いじめに耐えてきて、自分では解決できなくて、精神的にも追い詰められて、どうしようもなくなって被害を訴えたのに、

「頑張れ」とか、

「いじめに負けるな」

とかって言われると、

「自分はこれまで頑張っていじめに耐えてきたよ。でも、これ以上何をどうやって、どういう風に頑張ればいいのか」

と言う状態に追い込まれてしまうのである。

 いじめ被害を勇気を出して訴えても、

「頑張れ」

って言われると、非常に冷徹に突き放されたように感じてしまうのである。その結果、よりいじめが深刻な状態に陥ってしまい、最悪自死と言う結果を招いてしまう恐れも非常に高くなってしまうのである。このような最悪な結果を迎えないようにするためにも、いじめ被害を訴える子供がいたら、

「頑張れ」

「いじめに負けるな」

ではなく、

「よく今までいじめに耐えて頑張ってきたね。もう頑張らなくてもいいよ。疲れた心を少し休めようね」

「いじめを相談してくれてありがとうね。どうしたらいいのか、一緒に考えていこうね」

そういう、被害者の心に寄り添った言葉をかけてあげてほしい。まかり間違っても、

「いじめられているあなたにも原因があったのではないか?」

などと、いじめ被害者の人格を否定するようなことは絶対に言ってはならない。いじめ被害者にはいじめられていい理由も原因もないのだから。

 いじめの被害にあっている子供たちが心穏やかに過ごせるようになるには、長い時間がかかる。一度傷ついてしまった心は、なかなか癒すこともできないし、PTSDやフラッシュバックに苦しむことも多い。息の長い支援が必要になるのであるが、まず最初に何ができるのかと言うと、加害者と直接かかわることがないように、しばらくの間、学校を休ませることも大切であるし、学生の頃は家と学校で起きることが大半を占めているが、学校以外にはもっと大きな世界があるんだ。そこには必ずいじめを受けた子供たちを受け入れてもらえる場所があるっていうことを子供たちに教えてあげるのも大切だろうと思う。学校をしばらく休んで、その間に加害者に対して、転出させることも学校側に求めてもいいし、今ではリモートでの勉強ということもできるし、フリースクールで勉強してもいい。一番いいのは、加害者を遠くに転出させるのがだと思うが、加賀者もなかなか自分の非を認めないと思うので、被害者の子供たちには、学校や加害者とのかかわりの中で起きる惨劇以外にも、大きな世界に目を向けられるようにサポートしていくことができれば、被害にあった子供たちもいつか、自分に対する自信と誇りを取り戻せるのではないかと思う。私はいじめの被害と後遺症に長い間苦しんできたが、それでも何とか自分を保っていられたのは、趣味である鉄道と天文関係に熱中することができて、趣味でつながった人との交流があったから。それにずいぶんと救われたというのは、はっきりと言えると思う

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