第60話3級へ進級
そしてしばらくして発表された検定試験の結果発表。私も大森も合格していて、3級へと進級。これで目標としていた姉と同じ3級へと進級することになった。6年生になってからろくなことがなかった私にとって、久しぶりに明るい話題であった。頑張ったということで、いつものように近所の喫茶店で合格祝い。両親や姉・妹も祝ってくれた。このそろばんの検定試験は、親友の星田や今田、永井や柳井達にも話していて、合格発表があった次の日、学校に行くと、
「検定試験はどうやったんか?」
と永井達に聞かれて、
「無事に合格しとったわ。俺も大森もこれで3級や」
そう言うと
「めっちゃよかったやんけ。すごいなぁ」
と言わってくれた。生活ノートで、先生にも結果を知らせると
「よう頑張ったなぁ。次の目標は2級か?」
と言われたので、
「もちろん2級を目指します。絶対に姉よりも上に行こうと思ってます」
と言うと
「頑張れよ」
と励ましの言葉をかけてもらえた。このことが渡部や久保たちにとっては、先生が私を依怙贔屓しているという風に感じ取ったようで、
「お前さ、ちょっとそろばんの検定試験でええ成績とったからって威張るなや。めっちゃむかつくねん」
と言ってきた。それを聞いていた大森が
「私も合格したけど、別に威張ってへんし、私もリンダ君もめっちゃ頑張ったんやで。その頑張ったことに対して、なんでそんなこと言わなあかんの?」
と言ってくれたのであるが、正直、こいつらには何を言っても無駄・言い返したら余計に自分がやられるだけ。というあきらめにも似た気持ちになっていて、
「もうええねん。どうせこいつらに何言うたかて通じひんのやから」
「そんなん言うたって、せっかく頑張って合格したのに、あんなん言われたら悔しいやん」
「俺かってめっちゃ悔しいけど、言い返したら殴られるのは俺やもん。もうどうでもええねん」
そこへ渡部が口をはさんできた。
「佳ちゃんもあまりリンダには関わらんほうがええで。こいつと話してたら口が腐るわ」
「だったら俺に話しかけんなや。腐る言うんやったらほっといたらええやろ」
そういうと渡部は私のそばから離れていった。
「ごめん。せっかく俺を助けてくれたのに。でも気持ちだけでも嬉しいねん」
そう言って謝意を伝えてその日は帰った。
「死ね」
って言われると、自分自身生きている価値なんとどこにもないと思えるものであるが、ほんの数人でも助けてくれる仲間がいると、それだけで少し希望が持てるような気がした私である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます