第57話汚い顔
翌日、学校に行くと、天田と中井が私のところにやってきて、
「あんた、ほんまきったない顔してるな。ようそんな顔して外に出られるわ」
「あんたみたいなんが兄弟におったら恥やで。私はよかったわ。お前みたいな顔したのは兄弟がおらんで」
などと、今度は私の容姿をなじり始めた。蓄膿症の次は、私の容姿が気に入らないと言ってくる。蓄膿症にしても、私の顔立ちや容姿も、私自身にはどうしようもないことで攻め続けられるのは非常に辛かった。私の容姿まで否定されると、
「お前なんか生きてる価値がないんやから、さっさと死ね」
そう言われてるみたいであった。
「そんなん言うたって、俺にはどうしようもないやんけ。俺にどうせぇ言うねん」
「そう言うところやんか。そうやっていちいち歯向かってくるから、こっちもお前を攻撃したくなるねん。お前がずっとおとなしくしとったらええねん」
「どうせ俺が触ったものに触れたら手が腐るんやろ?だったら俺んとこ来んなや」
と言い返すと
「お前、ほんまに腹立つやっちゃな。お前なんかさっさと死んだらええねん。お前が死んだらみんな幸せになれるねん。早う死んでくれへんか?」
などの罵声を浴びせてきた。このことを聞いた大森が
「なんでリンダ君をそうやっていじめなあかんの?リンダ君は別に何も悪いことしてへんやん。なんで死ねって言わなあかんの?」
などと言うと、
「佳ちゃん、こいつはな、いっつも鼻かんでてめっちゃ汚いねん。汚いことしてるんやからしょうがないんちゃう?」
「だって、リンダ君は鼻の病気で治療してるけど、なかなか治らへんから仕方がないって言われたんちゃう?そんな1人ではどうしようもできひんことでいじめるなんて卑怯やで」
そう言いくるめると、この時は天田たちも引き下がっていった。
「リンダ君も先生に言いに行った方がええんとちゃう?」
と言うのであるが、どうしてもできなかった。やはり昨日の恐怖が、どうしても頭から離れないのである。大森が
「あんたがよう言われへんのやったら、私が言いに行ったろうか?」
と言うので、私は
「それだけはやっめてくれ。先生に告げ口したら、また何されるかわからへん」
そう言っている間に先生が教室に入ってきて、朝の会が始まり、授業へと移っていく。前日蹴りを入れられた背中が痛む中、授業を受けた私であるが、痛みが気になって、授業が身に入らなかった。昼からは学級会が開かれたが、私がいじめを受けていると話す児童は誰一人としていなかった。昨日清川が言った
「センコウにチクったら蹴りを入れる」
ということを気にして、この場でいじめを公表すれば、再び私がターゲットにされるということを気にしての結果であった。その学級会も”平穏”に終わって、一日の授業が終わって終わりの会。さんざん暴言を浴びせられ、言いたい放題なことを言われた私であるが、恐怖から自分がいじめを切り出すことができなかった。そして迎えた土曜日。半日の授業があるため、この日も学校に向かった。そして終わりの会が終わってみんなが帰ろうとした矢先、楢崎先生が渡部・甘田・浜山・中井・湯川・増井・清川を呼び出して、昨日・一昨日と、この教室で起こったことについて問いただすということがあった。私は一切口外してないのに、なぜ先生の耳に入ったのか…。先生はだれが書いたのか名前は伏せたうえで、生活ノートに書いて提出した児童がいて、そしてこの2日間の出来事を知ったという。先生日怒り心頭で思きりビンタを張り倒した上に
「親に連絡する」
とまで言い出して、さすがに名指しされた奴らの顔にも
「ヤバイ…」
と言う表情がありありと浮かんでいる。
「親に怒鳴られる」
そう思っていたのいたのかもしれない。教室で起こったことを加害行為を働いた全員の生活ノートに先生が書いて、それを親に見せて、どのように子供と向き合っていくのかを問いただすことを先生は私に告げた。自分の子供がやったことに対して、親としてどう責任を取るのかということであった。これで加害行為をやったやつらの親にも知られることになるので、これで収束するのかなぁ…。と思っていた。
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