第44話スターウォッチング

 運動会が終わった次の日は学校が休みなので、星田を誘って天体望遠鏡を出して、二人でスターウォッチングをした。秋に見ごろを迎えるカシオペア座やアンドロメダ座、アンドロメダ座の中にあるアンドロメダ銀河を観察したり、ペガサス座の星々を観察したり、まだ西の空に見えている夏の大三角を観察したり。月を観察したときは、表面に見えるクレーターがくっきり見えてきれいであった。月の光は思いのほか強いので、じっくり眺めているとほかの天体を観察するのに、暗闇になれるまで、少し時間がかかる。それでも時間を忘れてスターウォッチング夜遅くなってきたので、父が星田を家まで送っていって、その間に私は望遠鏡をしまって、風呂に入って寝た。秋の済んだ夜空は銀河系の外にある系外銀河がたくさん見えて、アンドロメダ銀河と並んで秋によく見える代表的な銀河としてさんかく座M33銀がある。この銀河は肉眼で見えるギリギリくらいの明るさであるが、町明かりのない綺麗な夜空では思いのほか肉眼でもはっきり見えるという。

 

 翌日は疲れがあったのか、遅くまで寝ていて、起きた時にはすでに父は出勤していた。母も妹を連れて保育園に行った後、パートに出かけていたので、私は姉と暇を持て余していた。姉は友達のところに電話をして、遊ぶ約束をして、だれもいなくなってしまい、家には私ひとりとなった。皆運動会で疲れているだろうし、遊びに行くのも悪いかなぁと思ったので、

「ゴンの散歩にでも行くか」

と思い、リードを持ってゴンの散歩に出かけた。ゴンはいつもと違う時間に散歩に連れていかれたので、

「?」

と言う感じであったが、散歩に行けるのであれば、

「まぁいいか」

とでも思ったのか、しっぽを振りながらついてきた。

 散歩の途中で今田と会って、思いっきり暇こいてるということだったので、今田も加わって散歩を続けた。途中、いつもの空き地で持ってきたテニスボールを投げてはゴンにとってこらせ、散歩の続きを再開して、私とゴンは踏切を渡って線路の反対側へ。途中階段のある踏切があるのであるが、あいにく踏切に引っかかってしまって、電車が通過するのを待っていた。ゴンは踏切の向こうに何か興味を惹かれるものがあったのか、少し身を乗り出していた。そこへ電車がやってきて、轟音とともに通過していったので、ゴンは驚いて階段を飛び降りた。そのあおりを受けてリードを持っていた私も後ろに引っ張られる形となり、危うく転倒しかけたが、何とかこらえてけがすることなく済んだ。家に帰ってゴンを犬小屋につなげると、まだ15時過ぎ。もう少し母と妹が帰ってくるまで時間があるので、テレビを見ていた。ふだん学校に行っていて見られないテレビが見られるというのもなんだか変な感じであった。

 やがて母が妹を連れて帰ってきて、姉も友達の家から帰ってきた。そして夕方になってゴンがワンワン鳴きだしたら父が帰ってくる合図。

 そして家族全員がそろって夕食。私たちが食事を始めると、ゴンも

「俺のことも忘れんといてや~」

と言いたそうにワンワンとなく。ゴンのエサをもって、お手とお座りをさせて。、最後にわんとなくとゴンも食事にありつける。そして翌日の学校に備えての用意を済ませて、いつもの時間に寝た私である。

 学校が再開されると、増井が関係するある事件が起きたのである。

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