第8話小学2年生 クラス替え
妹が生まれた春休みが過ぎて、私は2年生へ進級。担任の先生は川野先生という女性の先生であった。2年生に進級するうえでクラス替えが行われ、クラスのメンバーも大きく変わっていた。私は2組になり、新たなスタートを切った。
川野先生は明朗活発な先生で、一緒にドッジボールをしたり、グラウンドを走ったりしていた。そして私たちがやんちゃをして、雷を落とされることも多々あった。2年生になると算数では掛け算を習うようになり、九九の暗記が必修になっていた。私は算数が苦手で、九九もあまり上手に言えなかったので
「難しい」
と思っていた。先生が
「リンダ君はどうして先生のところに掛け算を言いに来んの?皆はいいに来てるけど?」
というので私は
「だって俺はうまく言われへんから」
というと先生は
「私が聞いてあげるから、ゆっくりでいいから言ってみん?」
というので私は
「間違えても笑わへん?」
と聞き返した。先生は
「間違えたってええやん。先生は絶対に笑わへんから」
というので、九九を1の段から順番に行ってみた。8の段まで間違わずに言えた。先生は
「あともうちょっとやん。頑張って」
と私を励ましながら応援してくれた。最後まで間違わずに言えると先生は、連絡帳に思いっきり大きな◎を書いてくれた後
「ちゃんと言えたやん。凄いよ~」
とほめてくれた。
「リンダ君もお兄ちゃんなんやから、もっと積極的にいろんなことを話してほしいわ」
と言ってくれて、2年生になってクラス替えがあって、担任の先生も変わって、いまいち先生やクラスメイトとの距離感がつかめないでいたが、これで先生やクラスメイトとの心の距離が縮まったように感じた。それから私もみんなに積極的に話しかけたり、外に出て遊ぶことが増えていった。
新学期が始まってしばらくすると家庭訪問がある。学校から家に帰ると、母が妹の世話や用事で忙しくしていた。私や姉も手伝いをしていたが、少し寂しさも感じていた。今までは私が一番年下で、一番多く母を独り占めで来ていたが、今は母は妹の世話に一生懸命である。そのため、それまで甘えることもできていたが、妹が生まれてからはそうもいってられなくなったので
「自分のことは自分でやる」
という意識が芽生えてきていた。宿題でわからないことがあったら自分で調べる。学校で先生に聞く、姉に聞くなど、今まで親に教えてもらっていたことも、親に頼ることもなくなっていった。
そんなある日先生の家庭訪問があった。母が
「息子は学校ではどんな様子ですか?」
と聞くと、
「最近リンダ君は、わからないことがあったら積極的に聞いてきますし、皆とも仲良く活発に過ごしてます」
などと話していた。先生は2か月になろうとしている妹を見て
「かわいいですね~。名前はなんていうんですか?」
と聞かれ、母は妹の名前を先生に教えていた
「素敵な名前ですね」
そう言い残して先生は次の家に向かった。まだこのころはGPSなどなく、地図だけが頼りだったので、家庭訪問も大変だったのではないかと思う。川野先生はは私たちが住んでいるT市ではなく、K市から通っていたのである。自分が住んでいる市の学校であれば土地勘もあると思うのだが、そうではないので先生は家を出る前に地図を確認しながら次の家庭訪問に向かっていった。
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