第6話初めての結婚式

 運動会が終わった1か月後くらいだったであろうか。父の弟である留兄ちゃんが結婚式を挙げた。私にとっては初めて経験する結婚式。足の悪い祖父も羽織袴姿で出席。祖父にとっては久しぶりの外出であった。母も妊娠中ではあるが出席し、私も初めての経験ではあるが、名前を呼ばれて元気に返事をしていた。

 結婚式が終わって披露宴に移り、自分の名前が書かれた席に着席。豪華な料理を目の前にして、親族のあいさつなどが続き、なかなか食べられないのは、小さな子供にとってはある意味拷問のような気がした。延々と挨拶が続いて、キャンドルサービスやケーキ入刀なども済んでようやく食事。おなかが空いていたのを今でも思い出す。

 結婚式が終わって家に帰ると留兄ちゃんの姿は当然なく、いつも6人で食事していた家族が5人になると、家が少し広くなったような、少し寂しいような感じがした。

 それからあわただしく年末を迎え、クリスマス・お正月と子供にとっては楽しみな季節に突入。確かこの正月の元旦は、父の妹の里おばちゃんの子供のノンちゃんとあっちゃんが遊びに来ていたのではないかと思う。ノンちゃんは私と同い年の男の子で、あっちゃんは私より3歳年下の女の子である。ノンちゃんは私と一緒に小学校に行って一緒に凧揚げ。あっちゃんは姉と遊んでいたのではなかったかと思う。寒さなど気にせず外で遊んで、家に帰ったら熱々の雑煮がたまらなくおいしかった。

 翌日は皆で初詣に行った。南海電車の住吉公園駅(現在の住吉大社駅)で降りて、住吉大社へ。かなりの人出で、私たち子供軍団は、迷子にならないようについていくので必死であった。境内にたどり着くとたくさんの店が並んでおり、いい香りが私たちを誘って色るようにも思えた。住吉大社にお参りに行って「赤ちゃんが無事に生まれますように」と祈って、その足で住吉区にあるお墓にも参って、ご先祖様にも新年の挨拶を済ませて家に帰った。この冬休みは母の出産準備もあり、せわしく過ぎていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る