第7話:後日談、そして新たなプロローグ!
ピロンッ♪――スマホから軽快な音が鳴った。
その音に気を取られ、ふと画面を覗き込む。
そこに映るのは「~~さんがあなたをフォローしました」という文字。
これで今日何回目になるだろうか……だんだん数えるのも面倒になってきたし、せめてもと名前を覚えようとしたがやめた。もう全部記憶に残っていない。
「はぁ……」
ため息をこぼす。
別にそれが不満だったわけではない。配信者として、命とも言えるフォロワーが増えることは本来嬉しいことだ。実際、心の中には充足感が広がっている。最初の方は一人増えるたびに「おおお!」と喜んだりもした。
しかしあの配信からずっとこんな調子というのでは話が変わる。まだ数時間しか経っていないというのに、夜中も鳴りっぱなしで全然寝付けなかった。ため息の一つくらい許してほしいものだと切実に思う。
そんでもってギルド勧誘のDMがかなり多かった。それが一番疲れの原因といえるだろう。真夜中だってのに山のように来る。
しかしギルドは、言わば「企業」だ。それを完全に無視するのも悪いと重い、考え中だという内容のメールを送信する作業をしていた。
死闘を繰り広げたアドレナリンがまだ出ているのか、なんとかまだ起きれているのが救いだな。
――ピロンッ♪
今度はアルマの方からだ。どうせオレと似たような通知だろう。
「いやぁ、なんだかすごいことになったわね……」
「本当だよ……」
疲れた様子で言葉を交わすオレとアルマ。さっきオレも鏡を見たが、二人ともクマがしっかりと浮き出ている。
「アルマ、フォロワー何人増えた……?」
「私は……2万ちょっとかな。ヴェインは?」
「えーっと……そろそろ3万になりそう」
「はぁ!? さすがに早すぎじゃない?」
「しょうがないだろあんなの写しちゃったら……」
「それもそうね……」
妙に一言一言から吐き出される息が多いのは気のせいではないだろう。しばらくはこの騒音地獄と戦わねばならんと思うと……かなり気が重い。
「……のぉ、妾を置いて何をそんなに疲れておるんじゃ? まさか、その光る板にはそういう類の呪いでもかかっておるのか。ならな妾に任せよ、そういったことはかなり得意で――」
すると、アルマがはっとした様子で言った。
「あぁ、そういえば通知を切ればいいじゃない」
「その手があったか!」
「……そんなことにも気が付かないとか、私たちだいぶ疲れてるのね」
「そもそもあんな激しい戦闘の後だしな……」
「妾を無視するなー!」
むぅ、と頬を膨らませながら声のする方向を見る。
そこにはさっきと変わらぬ見た目の龍少女がいた。
だらしなく伸びた赤髪に、鬼のような長い角。見れば見るほど異常さが際立つし、人間じゃないんだなと実感する。
「まったく、妾は主らに服従を誓った従僕なのじゃぞ? 不当な対偶は良くないのじゃ! 妾は資産なんじゃー!」
「ずいぶんと自己評価の高い従僕ね……」
「ふふん、知らなんだか? 従僕というのは――」
「――資産で家族同然に扱う。子どもができればそれも歓迎する。だったかな」
「なっ!?」
ははーん。さてはこいつ、ポンコツだな? 中々面白いやつじゃないか。
ま、オレもTwixでかじっただけの知識だけどさ。
「さてと。これからどうする?」
「どうするったって、こんなホテルには長々いられないぞ」
あの後、オレたちは疲れと眠気に抗いつつホテルへと向かった。
金はある程度持ってきているので、二泊三日くらいならなんとかなる。その間に方針を決めようという腹積もりだったのだ。
――ピロンッ♪
「次は何かしら……ってえぇ!?」
「どうした?」
「まさか、本当に呪いの――」
「見て!」
またしても龍少女の言葉を遮って見せてきたのは、ある一通のメール。
その内容を、かいつまんで読み上げてみる。
「アルマ様、ヴェイン様。そしてお連れの龍少女様。我々、ギルド
「すごくない!?
「それを元
「ま、まぁそれはいいのよ! ここを見て。『皆様がどちらにおられるかは存じ上げております。もし我々の提案を受け入れてくださるならば、迎えの者をそちらに派遣致します。あわせて宿泊場所もご用意します』だって!」
それは、今のオレたちにとってはかなり、いや最大級に魅力的すぎる提案だった。送迎つきで宿まである。今は金よりもそっちのが欲しい。それを分かっているあたり、さすがトップギルドといったところだろう。
「一つ、質問してもよいか?」
「いいわよ。今ならなんでも答えてあげるわ!」
「い、いきなり変わりすぎじゃの!? まぁ良い……
アルマの説明を要約するならば、
……というところだろうか。
「さてさて、さっさと返事を返してしまおうぜ。一刻も早く話を進めてしまいたい」
「そうね……これでよし、っと。どれくらい時間がかかるか分からないし、その間に寝ておきましょう」
――バンッ!
そうだな、とオレが言いかけた刹那、いきなり爆発が起こった。
焦って辺りを見回すと、アルマは困惑した表情を浮かべていた。もしや、と思って龍少女を見れば、こちらは険しい顔つきで警戒しているようだった。犯人みーっけ。
「くっ、かなり手強い……!」
「ちょっと、何してるのよ!」
「この空間に侵入しようとした者がいた! 妾はそれを防衛したのじゃ。しかし何回も攻撃を仕掛けられておる。このままじゃと持たん!」
「は、はぁ?」
完全に意味不明だ。
しかし納得は出来るし腑に落ちる。それがどうにも腹立たしい。
そんなとき、またしてもこの状況に似つかわしくない通知音が鳴った。
無視しようと心に決めたが、一瞬だけ視線を文字に写す。
それを見たオレは、思わず咄嗟に声を出していた。
「その防御、やめてあげてくれないか?」
「なぜじゃ! 妾は主らを守ろうと――」
「それ、迎えの人がやった行動らしいんだけど……」
「……は?」
うん! オレもそう思う! でもしょうがないじゃん! 「空間転移を妨害しないでいただきたいのですが」って書いてあるんだもん!
「わ、分かったのじゃ……」
不貞腐れた顔で、渋々と言った様子で警戒態勢を解く龍少女。
そして次の瞬間、なにもない空間から一人の男が現れた。
「やっと会えたね! 僕の愛しのアルマちゃんッ!」
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