そこは一旦停止です
日間田葉(ひまだ よう)
第1話 春の交通安全運動
かなり前のお話しです。
その年は免許を取って2年目でした。田舎に住んでおりましたので洋服を買いに行くために街まで車でいかなくてはなりません。毎回友達に乗せて行ってもらってましたが今回は私が車を出すことになりました。
友達のK美と二人、県庁所在地のとある商業地域のアパレルが行きつけの店だったのですがそこは2階にあり駐車場はありません。
私は少し離れた有料駐車場に車を止めようといったのですがK美がちょっとだから大丈夫、今日は受け取りだけだしと言いました。
確かにお直しの受け取りだけなので時間はかからないかもと私も思いました。正直二人とも歩くのが面倒だと思っていたのが本当のところです。
しかし、店に入ると新入荷の服がこれ見よがしに飾られています。あれも見たいこれも見たい、試着したい、欲しい~。
瞬く間に時間がたちました。
二人して新しい服を買ってウキウキと店の外に出ました。
すると、なんということでしょう。
私の赤い車がレッカー車に吊るしあげられています。
「それ、私の車です~」
「あっ、そうなの、駐車違反ね」とお巡りさん
「それ、下ろしてくれないと乗れません」と私
「いや、レッカーに積んだら下ろせないから、署まで一緒に来て」
「えー、ここで下ろして下さい、罰金払うんで」と私
「いやいや、ここじゃ下ろせないし、お金は振り込みね、とりあえずパトカーに乗って」
私はしぶしぶパトカーに乗ることに、そして一緒にいたK美は何故かウキウキしてパトカーの中を観察してました。こいつ~~~~。
しばし、パトカーでドライブ
前にはレッカーされていく私の車
そして某警察署に着くと私はお巡りさんの後に続いて署内を歩き、事務所のようなところに入ります。その廊下を歩いている途中、広い部屋の中で春の交通安全運動の出陣式みたいなのをやっているのが窓越しに見えました。
ああ、もうそんな時期だったのね、タイミングも悪かったなと思いました。
私は違反切符を切られ、レッカー代も払う事になりました。お巡りさん曰く、本当なら駐車料金も貰うんだけどすぐに返すからまけとくね。ですと。
そして帰路についたのです
大変だったのはこの後でした
春の交通安全運動の出陣式がローカルニュースに取り上げられていたのですが、連行されている(ように見える)私が窓越しに映っていたのです。
お巡りさんの後ろを歩く私は窓越しなので上半身しか見えません、ですが知っている人がみると私と分かります。手元は見えなくても何かに繋がれて連行されているように見えなくもない絵面でした。
ニュースが流れたあと、しばらくして電話がなりました。
「あんた、何したん?」と親戚の人にびっくりしたわと言われ、物凄く怒られました。もちろん説明しました。
そして、田舎あるあるなのですが、ローカルニュースでは同じニュースを何度も流すのでそのたびに電話がかかってくるのです。
「あんた、何したん?」と毎回同じことを聞かれます。
親戚からも親からも怒られるし、罰金は払わないといけないし、もうほんと散々な目にあいました。
その後は呪われたように一旦停止違反、スピード違反と次々に違反をしてしまい、その年だけでうん万円の罰金を払う羽目にもなりました。自業自得ですが。
私はない知恵を働かせました。そうだ税務署に電話しよう。
「罰金を今年これだけ払ったんですが確定申告で戻ったりしませんか?」とダメ元で聞いてみます。
「国庫金は控除対象にはなりません!」と言って怒られました。
極めつけは交通違反の累積点数が重なって30日の免停。
この30日の免停も2回ほどやりましたら裁判所から呼び出しがありました。
これには流石にもうダメだ人生終わった、私ってめっちゃ犯罪者やんとガクブルしました。
裁判所でまた怒られるんかなぁ、何されるだろう、捕まるんだろうかと怯えながらも出廷しました。すると
「もうしませんか?」とだけ聞かれたので
「もうしません」と答えたら帰してくれました。 なんなん
おわり
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