キミのこと痛いほどよく分かる

赤ペンマヤ

第1話悲しい区切りを

どうして、生まれてきたんだろう。


私ほど、こんなに憎たらしく、惨たらしく、そう思っている人はそんなにいないだろう。


そうやって、自分のことをずぶ濡れな子犬を見るような気持ちで、慈しんであげられる頃は、まだ良かった。


雪が降っている。


無人駅のホームで、私はぼぅっと、隔てられた空間の壁を見つめていた。


それは本来なら、絶対に超えてはいけない領域のように思われた。


でも、今まで自分にしてきたこと、その、憎くて悲しい人たちに、やっとこれでサヨナラが言える。


もう、ここで終わるって決めたんだ。


なんだか不思議なくらいに澄んだ空気だ。


これだけ透明な空気なら、寂しさに雪がちらつくのも確かに納得だ。


驚くぐらいに冷静で、穏やかな気持ちだ。


私に、シアワセなんて、なかった。



セカ、イが、傾いてい、く...。







「ごめんなさい、もうしないから、いい子にしてるから、許して。」


ごぉぉぉぉお。


「やめて、やめてよ。

いたいよ、もうやめて。」


ざぁぁぁああぁあ...。


え...、


なんで、、。


せめて、そんな過去の自分を、遠くから見つめているような最後でありたかったのに。


結局は、同じ苦しみを、痛みを。


他でもない自分が。


繰り返しているだけじゃないか。


誰も分かってくれない。


誰も愛してくれない。


どうしようもなく、そんなことが、欲しかった頃の自分をとうに通り過ぎたような。


そう、この...。


自分が、心が、からだが。


腐った果実のように押しつぶされていく感覚...。


それが、


以前よりもずっと、


かんじられ、て、、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっっっっっ!!!!!



なぜ。


一瞬だけ、自分がどこからきたのか、何処へ向かうべきだったのか。


この大きな過ちをおかさなければ、どうなっていたのか。


何もかも全てが、


ひかりというなのぜつぼーが


みえたきがした。


だ、め。


もう、これ以上は、


は、

むりだ。





「っ、、?」


ふと、うつったのは、少年の顔だった。


涙を流して、


さも私のことを、何かイタタマシイものを見るかのように、水晶のような目が見つめている。


何か言ってる、


口が動いている。


私には、もう分からない。


この子が誰なのか、私が誰なのか、今までの出来事は全部何だったのか。


ただ、分かってたことというか感じていた違和感は、


ここが暗闇じゃないってことだ。


いや...。






だんだんとはっきりと、


変にはっきりとしてきた。


自分に雪が降り積もって冷たい感触がする。


あ、


寒い。


さむい。


「、すけて...。」


口が何度も、そう言って動く感覚。


「助けて。」


男の子、。


やっぱり、男の子だ。


時折、嗚咽を漏らしている。


震える、小さな手が、冷たい地面を伝って私の視界に流れるように入ってきた。


その手にぽうっと灯りがともる。




え、あ...。




あった、かい。




目の前がまたぼやけていく。


でも、それは、


そっとともされた火が心をくすぶっているような、



ココロの奥そこから、心地がいい感覚だった。



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