憧れのクラスメイトのギャルに告白煽りをされ続け、何回もフラれる話。

@Amane_18

1~12

第1話 放課後の教室にて



『告白』



 それは心の中に秘めた想いを包み隠さず、伝える行為。好きな人に自分の気持ちを伝え、相手の想いを確認するための大事な、大事な行為。


 学生にとっては一世一代の大勝負であり、勘違いや、失敗なんてしよう日には目も当てられない事になってしまう危険な行為でもある。


 そしてそんな危険な場面に出くわしてしまった男子がひとり。

 なんてことのない学校生活を送る予定だったその男子の日常は、その瞬間を境に大きく変わっていくことになるのだった。








 ある日の放課後。教室に忘れ物を取りに戻ると、教室の中にはクラスの陽キャ男子と、同じく陽キャの女子がふたりっきりで話していて、入りにくい雰囲気を漂わせていた。

 反射的に身を隠し、話が終わるのを待っていると、予想だにしない展開になってしまった。




「なぁ明日香。俺たちそろそろ付き合わね?」


「は??キモ……急になに???」



 なんと急に男子が告白し、それに対して女子が辛辣な返しを放ったのだ。先ほどまで和気あいあいとしていたはずの雰囲気は一瞬にして凍ってしまった。



「いや……だってさ、え、俺のこと好きじゃないの?」


「それはそうかもだけどさ、だとしても今のは無いわ。うん。キモすぎ」



 勝ちを確信したかのような声で告白した男子は女子から連呼される「キモい」という言葉にボコボコにされていた。


「………てか話したいことってそれ?ならもう帰っていい?」


 いくらダサい告白だったからといっても告白されたはずの女子は全く意に介していないといった態度で帰ろうとし始めた。

 そんな女子を男子はなんとか引き留めようと必死に言葉をかけた。


「ごめん!!もういっかい!チャンスくれ!」



 男子も男子で諦めずにアタックする。そんな男子に呆れているような声色で女子は返答した。



「そもそも。他に好きな人いるから。ごめんね」


「なッ…………!!?」



 女子の衝撃の発言に男子は動揺を隠しきれず、若干キレ気味で発言の真意を聞き出した。


「好きな人って……誰だよ!!俺よりイケメンなのかよソイツは!」


「………………マジで最悪」


 自己肯定感が極まってる男子の発言を聞いた女子は、先ほどよりも鋭い口調でそう呟いた。

 その冷たい呟きを男子も聞き逃さなかったようで、さらに逆上し始めてしまった。


「何が最悪だよ!!散々思わせ振りな態度しといて!!!俺と付き合いたかったんだろ!!」


「意味分かんな………そんなんだから最悪だって言ってるんだけど」


「調子にのらせとけば……!!!」


「ちょ………離せ…………っおい!!」


 教室の中から激しい物音が聞こえ、それと同時に女子が抵抗している声も聞こえてくる。


「安心しろって……俺上手だから……」


「ふざけッ…んむッ!!?」


「とりあえず黙っといてくれよ……な?」



 端から聞いている分にもヤバい状況なのは伝わってくる。襲っている男子は1年の頃からその手の話題では有名だった。女をとっかえひっかえの遊び人という悪名で。

 まさかここまで強行手段にでるとは思いもしなかったが……


 しかし、そんなことを考えている場合ではない。このままでは絶対にマズい。


 今すぐ先生を呼びに走るか?

 でも探している間に取り返しのつかないことになったら?

 なら僕が止めに入るか?

 でもそんなことしても果たして止められるのか?


 思考し、迷う。沢山の案と言い訳を繰り返すが、結論はたったひとつなのだ。



 巻き込まれたくない



 今ここで大声を出せば止められるだろう。

「あ、先生!」みたいなことでもいいわけだ。


 でもそうすれば声から僕であることがバレるかもしれない。話を聞いていたのかを問われ、脅されるかもしれない。


 相手はカースト最上位。そんな奴にバレてしまえば今後の学校生活がどうなることか。




 考えすぎてしまう。簡単な話なのに。




 しらばっくれればバレる可能性は低い。


 だとしても、だとしても………



「んーーー!!!!!んん!!!」


「暴れんなって…!!」



 卑屈な思考をかき消すかのように女子の悲痛な叫びが聞こえてくる。





 その叫びを聞き……僕は………






「あ、あああああのの!!」





 考えうる限りで最悪の選択肢をとってしまったのだった。

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