第40話  カズヤ君⑯

「崔君、アカンわ」


 そこへ、僕の好みの女の娘(こ)が通りがかった。


「カズヤ君、あの娘や!」

「すみません、結婚を前提に付き合ってくれませんか?」

「え、マジで言ってる?」

「マジです。さあ、行きましょう」

「何、こいつ。怖いんやけど」

「そこまでや!」


 僕は女の娘を庇う。


「これ以上の失礼は、僕が許さへんぞ。お姉さん、助けに来ました」

「ああ、ありがとう。あんた誰?」

「通りすがりの者です。あなたを救おうと思って来ました。お姉さんが、紫のよく似合う美人だったので、助けずにはいられませんでした」

「あ、紫、似合ってる?」

「はい、元々、紫は高貴な人の色。お姉さんにふさわしい。さあ、僕が来たから大丈夫、この男から守ります。そうや、女性1人は危険です。駅まで送りましょう」


 僕は女の娘と歩き出した。


「おーい!」



 後ろから何か声が聞こえたが、僕の耳には入らなかった。







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