第10話 一緒に……

昼休み、次の時間は音楽だ。私は10分後くらいに音楽室へ移動しようと思っていた。


そこへ広香が何か言いたげな様子でやってきた。


「ねぇ私、みんなにあいさつしたい!」


「はぁ?」


またよくわからんことを言い始めた。あいさつをしたい?みんなに……!?


「好きにしなよー、あいさつ……いいじゃん?」


「いいでしょー!あいさつ。つむぎ、じゃあ一緒にあいさつしに行こっか!」


「私、行くわけないじゃん?変人だよ。」


「つむぎったらひどぉい!」


こいつ、わがままな。廊下で休み時間にただあいさつしてるやつなんて、ただの変人よ。


「私はいかないよ。」


「えー。次音楽じゃん、ついでに……ねっ」


「いや、私はもうちょっと後に行くからさ」


こう私が告げると広香はプク顔でこっちを見つめてきた。はぁ、私はつむぎの彼氏じゃないよー?ただの女友達ですが。


周りがざわつく……

広香可愛いって騒いでる女子がたくさん……

こっちの身にもなってほしいよー!


「もう知らない、ふんっ!」


そう言って広香はわざとらしくちょこちょこと歩いて教室を出ていこうとした。広香、周りの反応見て味しめたなぁ!


……あれ、広香がなぜか教室の扉の前で突っ立ってこちらをじとーっと見つめている。


私はつられないかな。ごめん。あいさつみんなに、昼休み中に、ただの変人ですもん

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