第9話 動物園

今私は冬休み何をしていたか、広香と話しているところだ。私はクラスのみんなと動物園に行った。


「クラスのみんなと動物園に行ったよ」


「ふーん、何人くらい?」


「クラスの半分くらいかなぁ」


「へぇー、楽しかった?」


正直、楽しくはなかった。酷い言い方をすれば、せっかくの冬休みに無駄足だった気がした。動物園はどうも話題性に欠けるようで、みんな会話が弾まなかった。

そういえば……私はあることを思い出す。


「みんな、広香がいたら楽しかっただろうな!って言ってたよー」


これは本当の話だ。私含め、数人が話していた。


「えっホントっ!」


広香はあからさまに嬉しそう……


「じゃあ私のこと誘ってくれたらよかったのに」


私はこの広香の言葉に首を傾げる。広香は誘いを自分から断っていたくせに……


「広香は行かないって言ってたじゃん!」


「いやいやつむぎ、断られてももう一回誘ってくれればよかったのに……そしたら行ったよー」


「……はぁ」


私は思わずため息を漏らす。


「第一、私がそんな簡単に腰を上げるとでも?」


広香はどうやらお嬢様気分のようだった。広香って……重そうな女だなぁ。

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