第6話 数学

休み時間、広香が私のところにとんできた。


「つむぎー!今日数学ない……寂し寂しさびしさびし!」


寂しいを謎に活用(?)してるのはいつものことだからスルーするとして。私は正直数学が苦手だ。というか嫌いだ。残念ながら広香の気持ちには同意できない。


「わからないかなぁ。むしろ数学はなくて嬉しい……」


もちろん広香の反感を買う。


「そうやって人の好きなものを否定しないでよねー!悲し悲しかなしかなしだよ」


「それはごめんね。」


毎週水曜日、必ずこの会話がある。水曜日は数学がないわけだ。


      ◆◇◆◇◆◇◆◇


こんなこともあった。ある日の登校中、広香は急に校歌を歌い始めた。


「つむぎも一緒に!♪〜」


イントロの鼻歌はもう始まっている。もちろん私は歌う気なんて全くない。するとどうしたものか……


「3.1415926535〜♪ 8979323846〜♪」


なんと円周率に替え歌して、校歌を歌い始めたのだ。数学への愛の表現方法も独特な広香。この時は私も大笑いした。

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