第3話 夏休み明け

まだ夏の暑さが残ってた時期の話だった。私はとうとう夏休みが終わってしまったと、重い気持ちで学校へと向かった。もちろん今日も広香と出会う。


「おはよう。つむぎ、元気にしてた?」


広香にしては、常人(?)のトーンだ。なんだか暗い?でも、少なくとも私よりは元気かな。


「おはよう広香、なんか……??」


「もしかしてつむぎ気づいたー?さすが私の友達!」


私の勘は当たっていた。やっぱ広香、夏休み中になんかあったのかなぁ。いつも元気な広香だけに心配になる。


「私、つむぎと繋がりたくってぇ」


「繋がりたい!?すでに友達だけど!?」


「私とつむぎ、通じ合えていないと思うんだよね……」


苦笑いしてしまった。広香ご本人も、自分が周りと通じ合えていないことをお分かりだったとは。確かにそうだ。いつもなんだか元気をもらっているが、実際に内容を理解した会話は2割いくだろうか。会話のキャッチボールなんてものは広香には存在しないが……


「確かに広香の話、理解できてるの2割くらいだけども……」


本音を漏らしてみた。


「それは悲し悲しかなしかなしだよー!だから、通じ合えるように普通に会話しようと心がけてるの」


「???」


いや、すでに通じ合えなさそうな、よくわからないワードがとびだしてるんですけどー!カナシカナシ?


この調子だと、広香の努力も残念ながら意味をなさない様子だ。広香と通じ合うのはまだ先の話かなぁ。

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