第2話 転生したらラスボスだったけど、まだ1歳なせいで現状がわかってきたのに何もできない


...1年後


 丁度今日で1歳となる。


 この一年間で分かったことがいくつかある。この世界は日本語が共通語であること。リアム・ヴォルティスと名付けられたこと。伯爵であるの三男として転生したこと。そして転生した世界が、最近買ったラノベの世界であること。


 そして、そのラノベの世界のラスボスがリアム・ヴォルティスであること。


 ...え?なんでまだ読んでないのに知ってるのかだって?某小説投稿サイトで読んで面白いと思ったからコミカライズ版買ったんだよ。


 ネット版原作では、剣と魔法のよくある異世界ファンタジーで、主人公のユーリイが性根が腐った貴族たちを武力でざまあする話だ。


 そして、ヴォルティス家は物語終盤で出てくる貴族で、実は裏で様々な貴族を利用して悪事をしていて、王家の乗っ取りまで企んでいたため、主人公に粛清された。


 なぜ三男ごときがラスボスなのか。理由は二つあって、一つが、ヴォルティス家の中で、主人公ユーリイと対峙するのがリアムだけだということ、もう一つが、現当主であるマラカイ・ヴォルティスがリアムを悪魔の生贄にしたことである。その悪魔はとあるコインに封印されていたけれどリアムを乗っ取る形で復活し、主人公ユーリイに襲い掛かる。多分ヴォルティス家としては最後の足掻きだったのだろう、悪魔が主人公に倒されると、一族もろとも自決した。この時、リアムは15歳である。


 そう、このままだと早死がほぼ確定している。何とかしないと...


「リアム。おいで。」


 長男のアーク・ヴォルティスが呼ぶ。原作では王国最高峰の魔法学園で主席合格をしていた。アーク首位はそこから来ているのだろう。


「なあリアム。どうしておまえはそんなにかわいいんだ?手足もぷにぷにで純粋無垢な目でちっちゃくて笑うと天使のようで………」


 こんなにブラコンだとは原作には書かれてなかったけど。

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