プロローグ

 「あいつ、嫌い。なんで学校に来るのかな??そろそろ死ねばいいのに。」

はじめて見た「今」の状況はそれだった。

小学4年生の頃、お家で好きな女の子のことを考えていると、頭の中に「今」の状況が浮かび上がった。

はじめはびっくりした。だって好きな子が自分の悪口を言っているなんて知りたくなかったからだ。

びっくりしてすごく泣いたのを覚えている。

 そんなときに寄り添ってくれたのはやっぱり陸兄ちゃんだった。

はじめは、僕が泣きながら陸兄ちゃんの家にやって来て、陸兄ちゃんすごくびっくりしていたけど、何も聞かずに話を聞いてくれた陸兄ちゃんがすごくかっこよくて好きだと思った。

すごく、すごく好きだと思った。

それから日記を書き始めた。

自分のこの能力を知るために。学習して抑えれるようにするために。


 それが、7年前の話。

今、僕は高校一年生になろうとしている。

それと同時に陸兄ちゃんは結婚した。すごくモデルみたいな人と。

僕は寂しい気持ちを抱えながら陸兄ちゃんの惚気話を聞いていた。正直うんざりするけど、こんなに嬉しそうで、楽しそうな陸兄ちゃんは久々だから僕も嬉しいな。

そんなことを思っていると、5時になった。

「あ、僕そろそろ帰らないと。」

「もうそんな時間か。送ろっか??」

「うんうん。大丈夫。自転車できたし、湖兎音さんに申し訳ないし、」

「そっか、わかった。じゃ、またな!」

「うん!」

そう言って僕は陸兄ちゃんが住んでいる家から出て、自分が住んでいる家に帰るのだった。

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