第11話 修行の成果

 「グギャギャ!」


 「その傲慢さが命取りになるぞ」


 「アレス!手助けは必要か?」


 「問題ないよ!ジルガ爺さん」


 「そうか。相手は格上で人数的にも不利だが、身命を賭してかかれば、死ぬことはない。気張って行ってこい!」


 「はい!」


 約100匹のゴブリンと上位種、その集団を纏めるゴブリン・キング。圧倒的に不利な状況にもかかわらず、戦意は高揚する。


 (まずは雑魚を減らそうか!)


 目を瞑り、深呼吸をする。そして、【殺気】を放ち、両手にナイフを携えて走り出す。ゴブリン達も棍棒を握りしめて向かってくる。


 「蹴散らせ、迅雷の大波、津波襲雷ライトニング・ウェイヴ


 数多の稲光が波のようにゴブリン達を襲う。身体が焦げて煙を発している個体もいる。ゴブリンとホブゴブリンは全滅し、個体数の少ないゴブリン・ファイターやゴブリン・マジシャン、ゴブリン・ジェネラルは少なくないダメージを負っている。


 『レベルが29に上昇しました』


 『レベルが30に上昇しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 上位種達に休息の合間を与えず、ナイフでとどめを刺していく。確実に絶命させるために、的確に頸部と心臓を狙う。


 「グギャ…」


 「ギャ!ギャ…」


 武器と格闘で致命傷以外は被ダメ覚悟で突撃する。上位種達の攻撃は【魔纏闘鎧】に弾かれ、隙を晒すだけになっている。


 『レベルが31に上昇しました』


 『レベルが32に上昇しました』


 『レベルが33に上昇しました』


 『レベルが34に上昇しました』


 『スキル【指揮】Lv.1を獲得しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 「ふぅ…これで残るはゴブリン・キングだけだ」


 「アレス!油断するなよ!」


 「はい!」


 目の前で配下達が皆殺しにされたのにもかかわらず、こちらを見下すように笑っているようにみえる。


【ステータス】

 ・名称 ゴブリン・キング

 ・種族 小鬼族


 ・称号 小鬼の王


 ・Lv.45


 ・魔力 228


 ・筋力 100

 ・頑丈 100

 ・敏捷 96

 ・知力 96

 ・精神 98

 ・器用 96

 ・幸運 96


【魔法】

 ・【大地魔法】Lv.1


【武器・戦闘系スキル】

 ・【剛拳】Lv.1

 ・【統率】Lv.1


 【鑑定】と【心眼】のレベルが低いので魔法やスキルが全ては覗けない。相手の手札が隠されている以上、不安ではあるが楽しみでもある。


 ゴブリン・キングは背丈ほどある棍棒を肩に担ぎながら俺を鋭い眼光で見据える。その瞬間、身が竦み、身体が硬直する。


 (くそ!身体が動かない!)


 ゴブリン・キングがニヤリと笑いながら棍棒を振り下ろそうと構える。


 「アレス!ゴブリン・キングは【威圧】を発動している。【威嚇】と【殺気】を放て!そうすれば、硬直は解ける!」


 ジルガ爺さんの助言で我に返り、【威嚇】と【殺気】を発動させて【威圧】を中和する。


 「ドン!」


 振り下ろされた棍棒をナイフで軌道を逸らす。


 (直撃したら死にはしないが、行動不能になるな…)


 ゴブリン・キングはその場から動かず、何度も棍棒を振り下ろしたり、胴体を狙って横薙ぎに攻撃してくる。


 振り下ろしはナイフで軌道を逸らし、横薙ぎは跳躍して避ける。ゴブリン・キングはイライラが溜まっているようだ。


 頭に血が上ってきているのか、一撃が大振りになってきた。そして、咆哮しながら隙だらけの力任せな振り下ろしを放ってきた。


 (今だ!)


 「貫け、雷霆の一撃、迅雷ライトニング


 迅雷ライトニングはゴブリン・キングの顔面に直撃し、後退する。視界が奪われてる隙に【俊足】【抜き足】【差し足】【忍び足】【跳躍】で背後に回り、頸部に向かってナイフを突き刺す。


 「グァアアア!」


 突き刺したナイフ越しに迅雷ライトニングを放つとゴブリン・キングの巨体はビクビクと痙攣する。


 【強奪】のお知らせがないのでまだ死んでいない。背後から首に手を回しながら、ナイフで滅多刺しにし、ついでに眼球にもナイフを刺す。


 致命傷のダメージに膝をつくゴブリン・キング。とどめにより一層ナイフを首と眼球に刺しこむとゴブリン・キングは倒れた。


 『レベルが35に上昇しました』


 『レベルが36に上昇しました』


 『レベルが37に上昇しました』


 『レベルが38に上昇しました』


 『レベルが39に上昇しました』


 『レベルが40に上昇しました』


 『スキル【堅守】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【威圧】Lv.2を獲得しました』


 『スキル【統率】Lv.1を獲得しました』


 『魔法マジックスキル【大地魔法】Lv.1を獲得しました』


 『職業ジョブスキル【軽戦士】を習得しました』


 『既得のスキルは熟練度に加算されました』


 『職業ジョブスキル【闘士】が職業ジョブスキル【高位闘士】にランクアップしました』


 『職業ジョブスキル【魔術師】が職業ジョブスキル【高位魔術師】にランクアップしました』


 『職業ジョブスキル【狩人】が職業ジョブスキル【高位狩人】にランクアップしました』


 「ふぅ…討伐完了っと」


 「ははは!よくやった!これで俺と婆さんの修行は終わりだ」


 「…僕はまだ自分の強さに納得できていない」


 「甘えるな!ここからは己で鍛錬を積み、力を高めよ。自ら道を切り開くものが強くなれるのだ。覚えておけ!」


 「…うん。そうだね」


 「辛いかもしれない。不安かもしれない。だが、決して振り返るなよ。前だけを見て突っ走れ」


 ジルガ爺さんは優しくも厳しい目で俺を見つめ、その大きな手で俺の頭を撫でた。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 「アレス!よくやったぞ!あの爺さんと婆さんの修行を乗り越えるとは!」


 「アレス、お疲れ様。随分と立派になったわね」


 両親が暖かく出迎えてくれる。抱擁をかわすと思わず笑みが溢れる。


 (あれから6年…)


 俺は12歳になり、ジルガ爺さんとゼリス婆さんから修行の集大成としてゴブリンの集落の殲滅を言い渡された。


 それを果たしたため、両親はこんなにも喜んでいるのだ。親に褒められるのは嬉しいが…。


 (…ゴブリン・キング程度で躓いているようじゃダメだな。もっと強く!)


 今日の晩御飯はゴブリン・キングを討伐したことによって、少しだけ豪勢だった。




【あとがき】

 第1章が完結しました。

 この章は主人公が最低限戦えるように、修行をする章でした。

 第2章は大きく展開が動く予定です。(いきなり、強くなるとかではないです)

 明日は現在の主人公のステータスを書くつもりです。

 楽しみに待っていてください(≧∇≦)


 

 


 


 

 

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