第6話~けっぱっれ(頑張れ)~

村人達が集まり、誰がハナちゃんを助けに行くか、合議をしていたが、

その場はシーンと静まり返っていた。

誰もがヌエが怖くて助けに行きたくないのだ。

その時、襖(ふすま)が開き逞(たくま)しい男が入ってきた。

頬かむりを取り、「待たせたな~あ。」

多(村人達)を圧倒するような声だ。

「兄貴~。」「兄貴~。」「かっこいい~。」と村人の若者達(イート、ヨウカイ、カトッぺ)が叫んでいた。

その男の名前はヤーミ。

1ヶ月程前に、他の遠くの村からやって来たと言う旅人らしいが、2週間前にあぶれ者2人が村の通りで暴れているところを、あっという間にやっつけてくれたのがヤーミだった。


ドン助、以外では、ヤーミという勇者が連れ去られた娘( ハナちゃん) を助けに行くことになった。


「あれ、ハナちゃんは可愛くて華ちゃんにソックリ。それに、ヤーミという人間。闇田とびっくりするくらい似ている。あっはっは。伊藤、要、加藤もいるな。」道明寺は腹を抱えて笑った。

「おもしろ~。このドラマの続きはどうなるのかな?」

その時、道明寺の体がだんだんと透けてきた。

「あーあー。なんだ~こりゃー。」道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。


村の会合が再度、村長の大きな家で村のリーダー達を集め開かれた。、

その席で、ヤーミは村人達へ「俺はヌエがお山の山頂にある大きな木に向かったのを見たぜ。そこに行くには急な崖を登るための道具がないといけないな~。あっそうだ。ヌエは金に触るのが苦手だと噂に聞いたことがあるから、う~ん。ひらめいたよ!金で出来た長い鎖を作ってくれないか。鎖があれば、登る道具と武器になり、必ずヌエをやっつけるぜ。」と言い出した。

村長は、「ヤーミさん、本当にヌエを退治できるんですね・・。それではヌエを退治したら崖の上から、狼煙(のろし)を上げてほしい。ヌエを退治し、ハナを救出できたら赤い狼煙。ハナが亡くなっていたら青い狼煙。お願い出来ますか。」とヤーミの目をじっと見ながら言った。

「わかったよ。お安い御用だ。」

「金の鎖については、これから、リーダー達と話し合い決めます。」

リーダー達の合議の結果、それでヌエを退治できるなら安い物だということになり、村の大勢の人々がお金を出しあい、三日をかけ金の鎖を作りヤーミへ渡した。

ドン助にはお母さんが、夜中までわらを編んで丈夫な長い縄を作ってくれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る