第2話~たほらんけ(馬鹿者)~

その頃、ヤンキー二人が乗った真っ赤なシャコタン車が、うるさい音を上げて猛スピードで走っていた。

その車の助手席の窓が開いて、赤ら顔になっている若い男が、

「気持ちわり~。は~あ~あぷぅ、飲み過ぎたぜ、ン?おい、お前、寝てんのか、おい、(クルマが)曲がっているぞ。」その声に運転した男が目を開けた「アッ!しまった。」

キ・キ・キ・ドオーン。車は男子学生を後ろから跳ねフロント左のバンパーが折れ曲がっていた。

車に跳ねられた道明寺は、うつ伏せに倒れたが、両手で体を支え何とか起き上がろうとした。

車から中から赤ら顔の男が、倒れている学生に向かい「気を付けろ!バカ野郎がぁ!。」と怒声を浴びせ、睨んだ顔でメンチを切ったが、

学生の額からは多量の血が流れ出ていることに気付き、焦って「おい、行くぞ。はやくしろ~!あほー。運転しろや。」と焦りながら言った。

運転していた男は「お・う・うず・うん。」と震えながら答え、その後、「バババン」と轟音を出し、車は急発進して逃げて行った。

それを見ていた近くにいた男の人が慌てて駆け寄り、

「君、大丈夫か。ひどいやつらだな~。すぐに救急車を呼ぶからな。」

その声は道明寺には聞こえていたが・・・。

声が出ない。

あれっ。おかしいぞ。視野が狭くなっていく~。まるで暗闇にいるみたいだ~。

意識が遠退く。助けて・・・・。

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